韓国「BTS」が世界で桁外れの人気を得られた訳 K-POPの海外戦略から考えるマーケティング

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彼らの楽曲の多くはDynamiteを除き、すべて英語の歌詞の楽曲はありません。一部韓国語入った歌詞の楽曲がほとんどです。「ARMY」と呼ばれる熱狂的なファンが韓国語の歌詞を翻訳した字幕を付けたビデオをあげていることもあり、ファンの多くは歌詞の意味を理解しようとしており、等身大の気持ちを描いた歌詞の多くはGen. Z(Z世代)にはとくに受け入れられていると感じています。

これは数年間かけて、ファンとのコミュニケーションを続けて、彼らの成長を見守り続けてきたコミュニティー(ARMY)が拡大していることが大きいと考えます。

迷い努力する青春を共に同じ立場で、生きるBTSのメンバーと共に戦うARMYという感覚になっているのではないでしょうか(日本で言うとAKBやももクロのように、長年見守り続けて売れていくのを応援している感覚)。 

Dynamiteで初めて全編英語歌詞の楽曲をリリースした意義は大きく、BTSのさらなる浸透に大きな役割を果たすことになるでしょう。全世代のアメリカ人がラジオで聞いて、Spotifyで聞いて、テレビで見て、彼らの歌う内容を完全に理解することができるからです。実際この楽曲はアメリカでのファン層をさらに広げる役割を果たす、緻密に計算された特別な楽曲になっています。

アジア人がアメリカのエンタメ市場で活躍できる好機

『ブランデッドエンターテイメント お金を払ってでも見たい広告 』(宣伝会議)(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

BTSの物語性には「アジア人アーティストが全米で真のナンバーワンになれるか?」という命題があり、その命題を実現する物語とも言えます。K-POPも、この状況をつくるに至るまでに長い道のりがありましたが、北米や世界の観客に対する、アジアのエンターテインメントに対するハードルを下げてもらえたことは間違いありません。

これは日本のアーティスト・プロダクションにとっては環境としては追い風であり、チャンスとして捉えるべきではないかと考えています。

アーティスト単体、プロダクション1社といった単に個の力に頼るのではなく、「マーケティング」と捉えて、開発、流通、コミュニケーション・ブランディングに至るまで統合的なプロデュースを組織的に確かな戦略のもと、実施することが重要です。世界で戦うためにも、正しく、客観的に市場を分析するところから始めることがスタートラインとして大切だと考えます。

(取材、構成:光能 宝志)
鈴木 智也 STORIES®︎ CEO

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すずき ともや

博報堂・博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所等を経て2011年、博報堂DY・セガなどの出資で東京・LAに拠点を持つクリエイティブ・ブティック「STORIES®︎」を設立。 米国を中心に20名以上のクリエイターが所属。

SUBARU Your story withシリーズ、安室奈美恵MV、宇多田ヒカルMV・テレビ番組などブランデッドエンターテイメント、CM、MV、イベント等、数多くのプロジェクトをプロデュース。

早稲田大法学部・USC映画大学院プロデューサー学科卒業。2017年カンヌライオンズ・ブランデッドエンターテイメント部門審査員。共著・翻訳『ブランデッドエンターテイメント:お金を払ってでも見たい広告(宣伝会議)』stories-llc.com

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