「上位国は、野菜1個1個にしても寸分の狂いもない。料理人が見てもすごいなと思わせなければいけないのです。私自身も初回は17位でしたから、やはり、もっと経験が必要になってくるでしょう」(浜田シェフ)
実際、石井シェフも「スケジュールを前倒しすべきだった。そこが現場での焦りにつながってしまった」と認めている。
「勝つためには、F1の戦い方が必要なんです」と浜田シェフは言う。「最高のテクノロジーで高性能なマシーンを作って、それを運転する。そして、随時、コックピットで、力を合わせてメンテナンスする。北欧など常勝国は、今、その方式をとっています」。
これはどういうことかというと、最高級のマシーン=完成度の高いレシピ。運転するドライバーがコンテスタントであるシェフ。コックピットが、監督やキッチン審査員から、コミや当日割り当てられるアシスタントまで、チーム全員だ。極端に言えば、出場者であるシェフがすべてのレシピを考案する必要はないのだという。
シェフ1人ではなく、総力戦で挑む大会に
それでは、シェフのコンテストではないという見方もできるが、ミハエル・シューマッハが運転するから優勝するわけで、テクニックのないドライバーであれば、どんなに精巧なエンジンでもそれを生かしきれない。そう聞けば納得できる。
また、毎回、ボキューズ・ドール前年の1月のひらまつ杯で1位が決まって、丸1年間で仕上げて戦ってきたが、「それでは勝てない」とは浜田シェフの言葉だ。例えば、2位受賞者を、次回のボキューズ・ドールの候補者と決め、大会に同行させ、会場やキッチンのしつらえなどを体感させるということも必要だ。そうすれば、今回のように、必要以上に緊張するということも防げるだろうと。
日本は再び2年後の大会で当然、優勝を目標に掲げるだろうが、本当に勝つためには改めて何が必要なのだろうか。
参加者及び、チームジャパンの声を総合すると、まず候補者選びの改善が欠かせない。ボキューズ・ドールが開催される前年の1月に行われる「ひらまつ杯」の勝者を候補者にすることは変えずとも、2年前倒し、準備に時間をかける。同時に2位を次回の候補者とし、ボキューズ・ドールに同行させ、大会を体感させること。
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