日本でも承認「肥満治療薬」にあるこれだけの課題 「オルリスタット」薬局販売のメドが立たず
今回のオルリスタットの承認について、薬局経営にも関わるファルメディコ(大阪市)代表取締役の狭間研至医師は、期待する一方で難題が多いと考える。
まずその期待だが、「何よりご自身の体型管理も含め、国民が自分の責任のもとで健康管理を行っていくセルフケア、セルフメディケーションへの第一歩。もう1つは、国の方針である、『軽い病気は自助で、重い病気は公助で』という社会保障制度のあり方からいっても意味がある」と言う。
そして、難題は「正しい使い方について、薬剤師がしっかり指導できるか」という点だ。
薬局にいる薬剤師について多くの人がイメージするのは、医師が処方した処方箋をもとに薬を提供し、飲み方や副作用などについて説明する人、ではないだろうか。健康問題について相談したり、そうした相談ごとに対して適切な薬や生活習慣の是正についてアドバイスしたり……という感じではない。
狭間医師は「実際、薬剤師自身もそう思っていることが大きな問題」と話す。
「今後、薬剤師に求められるのはそういう業務ではありません。今回のオルリスタットを例に挙げれば、『やせたい』と言って薬を買いに来たお客さまに対して、その薬がその人にとって有益かどうかを、これまでその人が行ってきた運動や食事の改善、腹囲などを総合的に加味して、専門的な視点で薬を出す。しかもそれを長期的にフォローすることも大切です」
腹囲の測定や、肥満の判断はどうする?
薬局での販売では、次の点にも疑問が残る。
1つは、腹囲の測定。「腹部が太めな人(男性が腹囲85センチ以上、女性が90センチ以上)であること」を薬の適応としているが、薬局でどうやってそれを確認するのか、現場で測定することがはたしてできるのか。
そしてもう1つは、適正な人に販売できるかという点だ。買いに来た客が「本当の肥満」なのか、それとも“何らかの病気でむくんでいて太っているように見えている”のか、あるいは病気が原因で太っているのか。それらをどうやって見極めるのだろうか。
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