日本でも承認「肥満治療薬」にあるこれだけの課題 「オルリスタット」薬局販売のメドが立たず

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宮田医師は、今回は医師が処方する医療用医薬品ではなく、薬局で発売する要指導医薬品であることも、承認に至った一因だと話す。

その背景にあるのは「セルフメディケーション」の広がりだ。

セルフメディケーションとは、WHO(世界保健機関)の定義によると「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な体の不調は自分で手当てすること」を言う。

コロナ禍では、感染者のうち症状が軽い人、重症化のリスクがない人は、自宅で待機する措置がとられた。その際に、薬局などで医薬品(コロナ感染なら解熱薬や鎮痛薬など)を購入し、自分で対処していた。結果的にコロナ禍でその流れは加速したと、宮田医師は見ている。

みいクリニック理事長の宮田俊男医師(写真:宮田医師提供)

「これまでセルフメディケーションが進まなかったことで、別の問題が表面化していました。個人輸入やオンラインの自由診療で抗肥満薬を入手して、使う人が増えてしまったのです。厚労省としては、個人輸入を野放しにしておくより、医薬品としてきちんと管理したほうがいいわけで、そういう意図もあるのではないでしょうか」(宮田医師)

オルリスタットが購入できる条件

ところで、薬局で私たちが買える薬には、大きく2種類あることをご存じだろうか。

1つは「一般用医薬品」で、もう1つは「要指導医薬品」と呼ばれるものだ。今回、オルリスタットは後者、要指導医薬品の位置づけになる。

要指導医薬品のほとんどは、医師が医療機関で処方する医療用医薬品のなかから、有効性と安全性が認められて、市販薬に転用されたスイッチOTC(Over The Counter:薬局のカウンター越しで購入できる薬)だ。

対して、オルリスタットは医療用医薬品から転用されたのではなく、医療用医薬品での使用経験を経ないで薬局で販売されるダイレクトOTCになる。このタイプ、つまりダイレクトOTCは非常に少なく、脱毛症外用薬のリアップ(ミノキシジル)など、2、3種類しかない。

さらにオルリスタットの場合は、「3カ月以上、生活習慣改善の取り組みを行っていること」や、「体重や腹囲などを1カ月以上(少なくとも直近1カ月)記録していること」、「定期的に健康診断を受けていること」などの購入の条件があり、薬剤師はそれらを確認したうえで販売することになる。

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