日本でも承認「肥満治療薬」にあるこれだけの課題 「オルリスタット」薬局販売のメドが立たず
日本でも肥満治療薬が薬局で買えるようになる――。そう期待していた人にとっては残念な状況に陥っている。そう、大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ(一般名:オルリスタット)」の話だ。
オルリスタットは2022年11月28日、厚生労働省の専門家部会によって薬局で買える要指導医薬品として承認。それを受け、同社は2023年2月に製造販売承認を取得した。
ところが、5月になって「(発売まで)もう少しかかる」との見解を示した。現時点(6月中旬)でもまだ販売のメドは立っていない。発売時期を明確にしなかった理由として、同社は「適正使用に向けた活動」と「安定供給の準備」の2つを挙げている。
そもそもオルリスタットとはどんな薬なのか。みいクリニック理事長の宮田俊男医師によると、「それほど新しい薬ではない」という。
1997年にアルゼンチンで初めて承認され、その2年後にはアメリカFDA(食品医薬品局)から抗肥満症薬として認可。以来、ヨーロッパや中国、韓国など多くの国で使われている。
現在、100カ国以上が120ミリグラムのオルリスタットを病院で処方する医療用医薬品として、70カ国以上が60ミリグラムのオルリスタットを薬局で買える一般用医薬品として販売している。
スウェーデンから有効性を示すデータ
効果についても、海外の臨床試験で報告されている。
例えばスウェーデンで実施された試験は、約3300人の肥満の人(BMI30以上。日本だと25以上で肥満となる)が被験者となり、生活習慣の改善+偽薬群と、生活習慣の改善+オルリスタット投与群に分けて4年間追跡調査している。
最終的には、生活習慣の改善+オルリスタット投与群の体重は、生活習慣の改善+偽薬群より2.8キロ多く減量でき(有意差あり)、糖尿病の発生が31%減少した。
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