熱海市長が目論む「入湯税と宿泊税」の二重取り 「二重課税」に映る増税に市内からも懸念の声

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旅行などで宿泊する際に予約サイト等で予約し、事前にクレジット決済する人は多い。私もそうした1人だ。現地での会計の手間が省けるし、事前決済向け格安プランがあったり、ポイントが付いたりすることも多いからだ。しかし、温泉地に宿泊した場合に、現地でさらに支払わなければならない場合がある。入湯税だ。

入湯税とは、鉱泉浴場が所在する市町村が、鉱泉浴場における入湯に対し、入湯客に課す目的税(地方税法上の目的税である市町村税)だ。温泉を使った入浴施設を利用したときにかかる税金で、日帰り入浴施設でも、温泉がある宿泊施設でもかかる。温泉に入った客に代わって、施設の経営者が市町村に納める。

法律上は、1人1日150円を標準としているが、市町村ごとにこれとは違う金額を定めることもできる。熱海市の場合も150円で、1泊2日の場合は、1日として計算している。箱根町の場合は、1泊2日150円、日帰りは50円だ。

熱海市は入湯税収入で全国2位

入湯税を導入している市町村は多い。観光経済新聞によれば、2020年度現在の課税市町村数は996自治体で、入湯税収入額が多い全国トップは箱根町(神奈川県)で、2位が熱海市だ。

熱海市の入湯税収入は2021年度で約2億4300万円(課税人員約163万人)だ。支出の内容別割合は、観光の振興(観光施設の整備を含む)43.8%、環境衛生施設の整備44.2%、消防施設等の整備9.7%、鉱泉源の保護・管理施設の整備2.3%となっている(熱海市公表資料「令和3年度入湯税の使い途」)。

これに加えて、齊藤市長は宿泊税の導入を目論んでいる。宿泊税は、旅館またはホテルに一定の金額以上の料金で宿泊した場合に課税される地方税だが、地方税法に定めのある税以外の法定外目的税にあたることが入湯税と異なる。

宿泊税を全国で初めて導入したのは東京都で、2002年のことだ。それ以前には、わが国には宿泊税と似たような税は存在しており、一定金額を超える遊興、飲食、宿泊に係る料金に対して徴収する税はあった。しかし、消費税との二重課税になるという観点から2000年に廃止されていた。

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