熱海市長が目論む「入湯税と宿泊税」の二重取り 「二重課税」に映る増税に市内からも懸念の声

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こうしたやり取りがあってから5年ほどが経過したが、宿泊税の導入には至っていない。しかし、最近になって大きな動きがあった。

熱海市は2022年12月1日に宿泊税を新設する条例案を公表した。1人1泊200円を徴収する案で、民泊を含めた宿泊客を対象とし、12歳未満や修学旅行生は納税対象から除外する。コロナ禍前の熱海は年300万人前後の宿泊客があったので、単純計算では6億円程度の税収となる条例案だ。同時に熱海市は同条例案への意見公募(パブコメ)を始め、22人から意見提出があった。

複数の懸念が相次ぐ

しかし、「近隣の温泉地に流れて宿泊客が減るのではないか」「入浴税との二重課税ではないのか」「使途が不透明だ」などの懸念が相次いだ。熱海市の諮問機関である行財政審議会も丁寧な説明を求め、市は2月議会への提案を見送った。

熱海市ホテル旅館協同組合連合会が3月20日に市が導入を目指している宿泊税等についての説明会を市内で開いた。齊藤栄市長や市の幹部が参加して説明したが、ここでも観光施策や税の使途について議論を重ねる必要性を訴える声が相次いだという(2023年3月21日付「あなたの静岡新聞」)。

実は、北海道でも、道や札幌市が宿泊税の導入を目指しており、温泉地から反発が出ている。例えば、札幌市は1泊150円、日帰り100円の入湯税を課しており、2021年度の収入額は約1億9千万円だ。市内には全国でも有数の温泉地である定山渓温泉があり、定山渓観光協会は入湯税に加えての新たな宿泊税導入に強く反発している。

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