「奨学金280万円」31歳彼女の苦い20歳の誕生日 父の新しい妻から「授業料は払えない」と電話…

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原田さんの通っていた高校は進学校とはいえ、会社の同期たちが通っていたような名門高校とは、世間体的にも偏差値的にも比べものにならなかった。

奨学金は自分の未来に希望を託すお金

高校までだったら、確かに太刀打ちできなかっただろう。しかし、原田さんは大学に入ってアルバイトや留学を経験したことで、今のようなポジティブな考え方と出世につながる人付き合いを学ぶことができた。そういった点でも大学は、高校で学べないことを経験させてくれる場ということを、改めて思い知らせてくれる。

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こうして、奨学金を借りたことで貧困から抜け出せただけではなく、貯蓄と自信も蓄えることができた原田さん。そんな彼女は今年に入ってから、議論の中心となっている「出世払い制度」について、次のような持論を持っている。

「出世払い制度など、奨学金に関する新たな法律が導入されるといいですね。最近は新卒の給料が上がったニュースも聞きますが、20代は低賃金の人が多いです。結婚や出産などのライフイベントも控える中で、奨学金の返済額をライフイベントに合わせて柔軟に対応してくれる仕組みがあれば、若者が将来に希望を持ちながら奨学金が有効活用されると思います。

もちろん、借りる側の意識も大切ですよね。奨学金を『ただの借金』として借りるのではなく、『自分の未来に希望を託すお金』として有効活用する意識が必要です」

生まれる家や地域を選ぶことはできない。しかし、自身の努力や考え方次第で、貧困層から中間層以上に上がることはできる。筆者にとっても、奨学金制度の重要性と、若者に合わせたさらなるアップデートの必要性を再認識した取材だった。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の現役の学生の方からの応募や、大学で奨学金に関する業務に関わっていた方からの取材依頼も歓迎します。
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千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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