「奨学金280万円」31歳彼女の苦い20歳の誕生日 父の新しい妻から「授業料は払えない」と電話…

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こうして、原田さんが総合職として、入社した会社の本社は大阪。そのため、入社1年目は大阪での社宅暮らしになったが、手取りは15万円程度しかもらえなかった。

「家賃は実質1万円ですが、それ以上に奨学金を毎月1万7000円、返済する必要があります。だから、社会人になって5年目まで、まったく貯金がありませんでした」

おまけに配属されたのは営業職。今では考えられないが、毎晩飲み会というような壮絶な部署だった。

この会社で頑張れば、と希望を持てた

「根が体育会系なので、先輩たちの誘いは断らずに、全部参加するようにしました。多いときは週5回飲み会で、年末は自分の会社だけではなく、お得意先の忘年会にも全部参加していたぐらいです。毎回奢ってもらえるわけではなく、若手を呼んでいるのにお金を出してくれないなんてこともよくありました(笑)。

とはいえ、毎回飲み会に顔を出していたことで上司に気に入られて、社内でもいいポジションに配属されたのは救いでしたね……」

その上司は奢ってくれるだけではなく、相談事にも乗ってくれた。

「本当に頼りになる人でした。精神的な支えになっただけではなく、奨学金や父の7000万円の借金など、プライベートな話も全部聞いてくれました。さらに『この会社で働いていれば、結婚や出産を含めて全部うまくいく!』と励ましてくれたので、ここまでがんばることができました。『この会社で働いていれば奨学金も一括で返済できるタイミングはくるから心配しなくて大丈夫だよ』と勇気づけられました」

同じ会社ということもあり、上司との会話は、自身の将来を想像する材料になった。

その言葉を額面通り信じた原田さんは、とりあえず利子のつく第二種を繰り上げで返済。そして、利子のつかない第一種は、自分のペースで返すことにした。とはいえ、もう10年は返し続けてきたので、残りは100万円程度である。

そして、数年前に原田さんは大阪で知り合った男性と結婚。子どもも生まれ、今は育児休業中だ。

「奨学金のことは夫にも話していて、『大丈夫だよ』と言ってくれたんです。父が自己破産していることなど、わたしの暗い過去もすべて受け入れてくれています。

ちなみに、夫も学生時代は奨学金を借りていたそうなのですが、すでにお義母さんが一括で返済してくれたらしいんですよね。だったら、何のために借りたんだろうという疑問ばかりが残りますが……(笑)。それでも、わたしの苦労話を真摯に聞いて、肯定してくれたことはありがたかったですね」

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