中国のカルフール店舗「商品棚が空っぽ」の惨状 業績悪化で多数のサプライヤーが商品供給停止

✎ 1〜 ✎ 1262 ✎ 1263 ✎ 1264 ✎ 最新
拡大
縮小
カルフールは地場系スーパーやネット通販との競争で苦戦していた。写真は北京市内の店舗(撮影:財新記者 張芮雪)

中国の大手スーパーマーケット・チェーン、家楽福中国(カルフール・チャイナ)の店頭で異変が起きている。同社は6月から、多数の店舗で会員顧客向けプリペイドカードの使用制限を開始した。それを聞きつけた会員が、カードの残額を使い切ろうと駆けつけると、店内の商品棚の多くが空っぽだったのだ。

財新記者は、北京や上海の複数の店舗を実際に訪れてみた。北京の店舗では、レジカウンターの前に掲示板を設置。「会員カードによる支払いは購入総額の20%までしか受け付けません。残額は他の決済手段で支払ってください」と顧客に告知していた。

上海のカルフール万里店は、2022年末までチェーン全店で最大の売り上げを誇る店舗だった。それが今や、生鮮食品売り場の水産物コーナーには商品がまったくなし。青果、精肉、冷凍食品コーナーも少量の商品が残っていただけで、菓子コーナーの棚もがらんとしていた。

中国資本傘下でも立て直せず

「事の始まりは、カルフールからの代金支払いの遅れを理由に、少数のサプライヤーが商品供給を停止したことだった。ところが、大手ブランドもそれに続くと、慌てたサプライヤーが次々に撤退した」

財新記者の取材に応じた大手日用品ブランドの販売代理業者は、店舗の異変の背景をそう明かし、次のように続けた。

「顧客がせっかく来店しても、買える商品がなければ、客はますます来なくなる。まさに悪循環だよ」

カルフールはもともとフランス資本で、28年前に中国に進出した。だが、近年は地場系のスーパーやEC(電子商取引)業者との競争で苦戦が目立ち、フランス本社は2019年6月、中国法人の株式の80%を中国の小売り大手の蘇寧易購集団(スーニン)に48億元(約948億円)で売却した。

本記事は「財新」の提供記事です

その後、蘇寧易購集団は不採算店舗の閉鎖を加速し、カルフールの経営立て直しを図った。買収後の2019年9月末時点で210店あった店舗数は、2023年3月末には114店と6割以下に減少した。それでも業績悪化を止められず、現下の惨状に至った格好だ。

(財新記者:孫嫣然,包雲紅)
※原文の配信は6月5日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT