中国の国有エネルギー大手の中国海洋石油(CNOOC)は6月1日、中国初の海上設置型のCCSプラントが南シナ海の東部海域で稼働し、海底下の地層中に二酸化炭素(CO2)の注入を開始したと発表した。
CCSは、発電所や石油化学プラント、製鉄所などからCO2を分離・回収し、それを有効利用したり、地中深くに注入して貯留したりするCCUS(訳注:Carbon Capture Usage Storage の頭文字)と呼ばれる技術の一種だ。
今回稼働したCCSプラントは、CNOOCが建設したアジア最大の海上石油掘削施設「恩平15-1」の原油採掘に伴って発生するCO2を貯留するために作られた。恩平15-1周辺の油田群では、1日当たり最大7000トン超の原油を産出しており、同時に湧出するガスのCO2含有率は95%に達する。
未解決の課題が山積
恩平15-1でのCCS実証プロジェクトは、2021年8月末にスタートした。原油採掘時に発生するガスから分離・回収したCO2を、掘削施設から3キロメートル離れた地点の海底下800メートルの深部塩水層に圧入する。貯留量は年間30万トン、累計150万トン超を計画している。
中国では近年、大規模なCCUSプラントの建設プロジェクトが相次いでいる。それらの推進を担うのは、石炭・電力大手の国家能源投資集団、石油大手の中国石油化工集団(シノペック)、中国石油天然気(ペトロチャイナ)、電力大手の華潤電力などの大型国有企業だ。
とはいえ、現時点のプロジェクトは「モデル事業」や「先行試験」という位置付けがほとんどだ。商業ベースでの大規模展開を実現するには、技術的なブレークスルーや有効なビジネスモデルの構築など、未解決の課題が山積している。
(財新記者:郭霽瑩)
※原文の配信は6月4日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら