中国政府が、人工知能(AI)の研究開発のあり方や規制について包括的に定める「人工知能法(AI法)」の立法準備に着手したことが明らかになった。国務院弁公庁が6月6日に公表した、2023年度の「立法作業計画」の中に盛り込まれた。
国務院の関連部門が草案を作成した後、国務院常務会議での審議と承認を経て立法機関(全国人民代表大会および同常務委員会)に提出され、審議と表決にかけられる。成立までの各ステップで(審議や修正に)どれくらいの時間を要するかは、現時点ではまだ未知数だ。
AIは急速な発展途上の段階にあり、中国には全国レベルの統一法規がまだない。そんななか、中央政府の関係省庁のレベルで、AIの適切な監督・管理を図るための中国独自の模索が始まっている。例えば、インターネット政策を所管する国家インターネット情報弁公室は4月11日、生成AIを活用したネットサービスの規制案を発表し、パブリックコメントを募った。
レッドラインを定める必要
「かつてのインターネットの発展過程では、『まず成長を優先させ、規制は後から考える』という考え方が主流だった。しかしAIに関しては、それをそのまま当てはめてはならない。AIがもたらすリスクの(許容可能な)ボトムラインや、絶対に超えてはならないレッドラインを、事前にしっかり定める必要ある」
財新記者の取材に応じた中国のある専門家は、AI法の制定の意義についてそう述べた。
南京航空航天大学のネットワーク・AI法治研究院の副院長を務める李宗輝氏は、財新記者の取材に対して「AIは応用領域が極めて広く、その影響が惹起する法律上の問題も多岐にわたる」と指摘。そのうえで、AI法の位置付けについて次のようにコメントした。
「AI法は、AI技術の研究開発や応用に関する法的原則を定める『基本法』だ。その内容はアルゴリズム、データの取り扱い、アプリケーションなどを包括しつつ、個別の具体的な問題には触れないものになるだろう」
(財新記者:覃建行)
※原文の配信は6月8日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら