既視感を感じさせるチンパンジーの「派閥と政治」 なぜヒトは常に「集団の力学」を気にするのか

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友人どうしがどのように助け合うかは、食料などのリソースが手に入るかどうか予測がつきにくいときには、とりわけ重要になる。

重要なパートナーに対しては見返りを求めずに支援するのは、将来自分が困ったときに似たような支援を受けられるだろうとの考えがあるからだ。

ほかの研究からは、交友関係を通じて得られる支援は幸福や健康の度合いを高め、ストレスを軽減し、免疫機能を活発にできるほか、長生きにも効果があることがわかった。

コンゴと中央アフリカ共和国にすむ狩猟採集民のバヤカ族を対象にした実験では、友人の数が多い人ほどBMI(体格指数)が高かった。これは女性にとっては生殖能力が高いことを意味する。

バヤカ族の社会では、最も強固な社会的ネットワークをもつ男性はさらに多くの妻を迎えられる可能性が高まり、これが繁殖の成功にじかに影響を及ぼす。

交友関係がとりわけ重要なのは、逆境に直面したときだ。

アメリカ南北戦争当時の南軍の捕虜収容所だったアンダーソンヴィルでは、半数近い収容者が死亡した。こうした劣悪な環境で、生き延びるための最大の条件の一つが、友人をもっていることだった。

集団の力学は変化する

交友関係は逆境を乗りきる一助となるだけでなく、身を守る手段となったり、他者と競う能力を高めたりすることから、社会的地位の安定や向上にも役立つ。

ヒヒの雌は血縁関係のない雄と交友関係を築くことで恩恵を得られる。群れのなかで子を殺そうとするほかの雄から自分(および自分の子)を守ることができるからだ。

チンパンジーの場合、交友関係は雄にとって特に大切であるようで、地位の向上や雌との出合いに役立てることができる。

アルファ雄がその地位にとどまれるかどうかは、親しい仲間の支援にかかっていることが多い。仲間はライバルの攻撃からアルファ雄を守る手助けをし、その見返りに寛容に接してもらい、交尾の機会を与えられる。

とはいえ、すべての交友関係が持続するわけではない。連携の形成は対立の最中にさかんになり、利害の対立がさまざまな個人や集団のあいだで変化することがあるように、社会的な結びつきの強さも変化することがある。

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