【子どもの近視】今すぐできる進行予防行動2つ 裸眼視力0.3未満の小学生は30年前の3倍以上

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では、どうすれば子どもの近視の進行を防ぐことができるのか。

その対策としては、「近業を避けること」「屋外活動を増やすこと」が有効だ。とはいえ、文部科学省の「GIGAスクール構想」で、子どもたちが1人1台の端末を持つことが推進されている今、近業を避けるのは不可能だ。

「大事なのは、スマホやタブレットとの付き合い方」と大野医師。ポイントは次の3つだ。

ただし、乳幼児期は別だ。大野医師は「小学校に入るまではスマホを見せるのは避けてほしい」と話す。

「目の機能は8歳くらいまでに完成するといわれています。目の発達期に強い刺激を受けることは、視力にも影響を及ぼすリスクがあります。動画を見せる場合は、できればテレビ、せめてタブレットなど、できるだけ大きな画面で見せることをおすすめします」

なお、近視は一般的に小学校中学年くらいで発症しやすいが、それよりも低年齢で発症する場合は「網膜色素変性症」(網膜に異常がある進行性の病気)など、背景に病気がある場合もある。

近視の効果が明らかな対策は少ない

屋外活動については、台湾の「1000ルクス以上の光を1日2時間以上浴びている子どもは近視になりにくい」という研究結果に基づき、1日2時間以上の屋外活動が世界的に推奨されている。中国では子どもの近視予防のために、教室に1000ルクスの照明を設置するなどの取り組みも実施されているそうだ。

「太陽光は紫外線による悪影響もあるので、日陰で過ごすのが理想です。現実的に毎日2時間外遊びをするのは難しいと思うので、通学や休み時間、体育の時間なども含めて、1日トータルで考えるといいでしょう」と大野医師はアドバイスする。

ネット上では、視力回復効果がある目の体操なども紹介されているが、大野医師は「近視予防の効果は認められていない」と断言する。

「ブルーライトをカットするメガネやサプリメントなど、さまざまな商品がありますが、近視予防の効果は明らかではありません。近視予防の情報は多く出回っていますが、効果や安全性がはっきりしていないものも少なくありません。日本近視学会のホームページなど、学会が公表している情報を参考にしてください」

日本近視学会のホームページはこちら
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