「今は誰もがイヤホンで、自分の好きな音楽をノンストップで聴けてしまう時代。聴取時間がかなり長時間化してしまっています。それによって聴覚障害が出る若者が世界中で増えてきて問題になっています」(菅原医師)
かつて、カセットテープやMD、CDで音楽を聴いていた時代には、長くても90分程度で音が止まっていた。現代はiPodなどの携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンの音楽プレーヤー機能で、好きな音楽を24時間でも聴き続けられる。イヤホン難聴(ヘッドホン難聴)はある意味、そうした最新テクノロジーが生んだ産物だ。
菅原医師によると、スマートフォンが普及し、イヤホンやヘッドホンで音楽を楽しむ機会が増えている昨今、イヤホン難聴は年齢にかかわらず増加しているという。とくにリスクが高いのが10代〜30代前半の若い世代だ。
イヤホン難聴の医学的な正式名称は「音響性難聴」。クラブやライブイベント、爆発音などで大音量にさらされるケースも含む。
大音量でなくても長時間はリスク
WHO(世界保健機関)では、世界の12~35歳人口の約半数にあたる11億人が将来的に音響性難聴になるリスクにさらされているとして警鐘を鳴らしている。
聞こえの仕組みはこうだ。
耳から入った音はまず、外耳道を通って鼓膜をふるわせ、中耳がその振動を内耳に伝える。内耳の蝸牛(かぎゅう)には音を感じるセンサーの役割を果たす有毛細胞があり、その先端にある「聴毛」が音の振動をキャッチする。それを電気信号に変換し、脳に伝達することで音として認識する。
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