居酒屋チェーン改め「焼肉の和民」の意外な強み 酒類含めほとんどのメニューが「429円均一」

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またコロナ禍の需要に対応し、今回説明する焼肉業態や「から揚げの天才」などのテイクアウトと、業態の多様化も進め、2023年3月期、国内外食事業をひっくるめた店舗数は347店舗。売上高は単体で252億8400万円(前期比167.2%)だ。

なお、居酒屋で規模の大きい企業として知られるのが、約1550店を抱える鳥貴族ホールディングス。2022年9月に約500店舗を展開する「やきとり大吉」のダイキチシステムの株式を取得したことにより、一気に規模を拡大した。またモンテローザは約1230店舗を展開する。前者の年間売上高が202億8829万円(2021年8月1日〜2022年7月31日)、後者が618億円(2023年3月期・連結)である。

渡邉氏の強い思いとともに始まった

では、今回のテーマである焼肉業態について見ていこう。

ワタミで焼肉の和民のほか、ファミリー層をターゲットにした食べ放題業態「かみむら牧場」も担当するワタミ執行役員焼肉営業本部長の新町洋忠氏によると、焼肉店の企画は2019年の夏頃から本格的に開始していたという。

「2019年7月に渡邉(渡邉美樹社長)とともにロサンゼルスを訪ね、現地の焼肉の市場調査を行いました。アメリカ人にとって、焼肉は『室内でバーベキューができる』という感覚のようで、海外に進出している日本の大手チェーンもとてもはやっていましたね。

それでも焼肉店はほとんどなく、和牛の魅力も伝えきれていない。まだまだ十分な可能性があると感じました。渡邉には前々から、『世界に日本の技術(特急レーン、ロボットなど)と和牛を紹介したい』という強い思いがありましたし」(新町氏)

居酒屋チェーンのイメージが強い同社だが、居酒屋や宅食の業態で肉を取り扱っていることから、生産者とのパイプもある。さらに、10年以上前に焼肉店を展開したこともあるのだという。

「渡邉自身にこだわりがあって、北海道で短角牛を育て、『炭団』という店を展開していました。今なら赤身ブームですが、当時は肉と言えばサシの入ったブランド牛。結局、うまく行きませんでした」(新町氏)

このように長らく潜伏してきた肉へのこだわりが、2020年の「かみむら牧場」や「焼肉の和民」等の焼肉チェーン展開へと結実したわけだ。大きな強みが、鹿児島でも指折りの畜産会社であるカミチクと手を結び、肉の供給元を確保したことだ。牛の飼料の生産から外食産業まで一貫して行うことが同社の特徴で、これによりコストを管理、生産農家の経営や牛肉価格を安定化できるという(カミチクグループHPより)。

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