ニューヨークが導入した「AI規制」具体的な中身 骨抜き案がテンプレートにならないか懸念も

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人工知能(AI)を規制する立法作業が大詰めを迎えているアメリカ・ニューヨークの取り組みとは(写真:まちゃー/PIXTA)

欧州議会では、人工知能(AI)を規制する立法作業が大詰めを迎えている。アメリカでもバイデン政権や議会の有力者たちがAIを規制する計画を温めている。「ChatGPT」でセンセーションを巻き起こしたオープンAIのCEOサム・アルトマンは、AIに対し監督と認可の権限を持つ連邦機関を創設すべきだと上院で証言。AI規制は、日本で行われたG7サミット(主要7カ国首脳会議)でも議題となった。

このように各国がAI規制に向けた計画や公約を掲げる中、地味ながらも先駆的な事例として注目されているのがニューヨーク市の取り組みだ。

7月から施行されるAI規制

ニューヨーク市政府は2021年にある法律を成立させ、人々の人生を大きく左右する人材採用や昇進の判断にAIを使用する場合の具体的なルールを4月に決定。7月から施行される。

ニューヨーク市の法律は、採用にAIソフトウェアを用いている企業に対し、選考を自動化するシステムを使用していることを求職者に通知するよう義務付けている。

さらに企業は、AIの判断に偏りがないかどうか、第三者の監査を毎年受けることも義務付けられた。求職者は、どのようなデータが収集し分析されているのかを尋ねることができ、企業はこれに回答しなければならない。違反した企業には、罰金が科される。

このように具体的な用途に焦点を絞ったニューヨーク市の規制アプローチは、AI規制における、ある重要な一面を映し出しているといえる。政府や国際機関が幅の広い一般的な規制原則をつくったとしても、専門家たちによれば、どこかの段階で、それを詳細で具体的な定義に落とし込む必要が出てくるからだ。

そのためには、影響を受けるのは誰か、メリットは何で、どのような害があるのか、誰にどういった介入が可能なのか、といった問題に答えを出さなくてはならない。

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