劣勢ドコモ、巻き返し策は「サブブランド」創設か 格安スマホ子会社を合併、次の一手への布石?
ドコモも無策だったわけではない。ドコモの回線を利用しているMVNOをドコモショップで販売する取り組み「エコノミーMVNO」を2021年から開始し、低価格志向のユーザーを取り込もうとしてきた。
現在までにレゾナントのOCNモバイルを含めた3ブランドが参加。ドコモ本体でカバーしきれない廉価プランは小回りの利くMVNOに補ってもらい、ドコモは回線使用料を得るビジネスモデルとする狙いだった。
しかしMVNOは通信がつながりにくいなどのデメリットがあるうえ、「ドコモ提供」という安心感での訴求ができない。販売面においても「キャリアのプランと比べて販売手数料が少ない分、代理店側が積極的に売ってくれなかった」(エコノミーMVNOの参加事業者)。結果的に、他社へのユーザー流出の歯止めにならなかったのが実態だ。
ドコモの井伊基之社長は5月の決算説明会の場で「(価格の安さを売りにした)エコノミーMVNOでできることには限界があり、今後どういった戦略をとるかを検討している」と語り、施策の見直しを示唆していた。
今後は高齢者のスマホ乗り換え特需も
キャリア間の競争は、この先さらに激しくなることが予想される。
5月下旬からMNP(番号を変えずに他社から乗り換える制度)手続きを簡素化する仕組みが導入され、モバイル市場の流動性は一段と高まる可能性が高い。
そうした中で、6月1日には楽天モバイルが、KDDI回線を借りるローミング対応エリアを拡大させる新プラン「最強プラン」の提供を開始した。
一方で今後2~3年の間に見込まれるのが、3Gの「ガラケー」を使用している高齢者などのスマホ乗り換え特需だ。2024年1月にソフトバンク、2026年3月にはドコモが旧世代通信規格「3G」を停波するためだ。
こうした事情を踏まえると、後塵を拝してきたドコモとしては今こそ、乾坤一擲のテコ入れ策に出るべきタイミングだろう。
シニア世代の間でも抜群の知名度を誇るドコモが仮にサブブランドを立ち上げれば、キャリア各社のほか、低価格を持ち味にしているMVNOへの打撃も大きい。挽回を期すための次の一手で、王者の底力が試される。
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