ヤフー・LINE連合に迫る「プライム脱落」の現実味 親会社の株価下落で「上場基準未達」状態が続く

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ヤフー、LINE、PayPayのロゴ
日本を代表するネット企業が、東証の最上位であるプライム市場から脱落の危機という珍事に直面している(左写真:尾形文繁撮影、中央・右写真:今井康一撮影)

「LINE、PayPayの力を最大限活用し、(Yahoo! JAPANなどの)メディア・検索を再強化する」

ソフトバンクグループ傘下で、ヤフーやLINE、PayPayの親会社であるZホールディングス(HD)の出澤剛社長は4月28日、2022年度決算説明会の場でそう宣言した。

同日、ZHDはかねて発表していたヤフー、LINEとの合併を2023年10月に実施し、新会社の社名を「LINEヤフー」とする方針を明らかにした。

合併と同時期にLINEとYahoo! JAPANのIDを連携させ、2024年度中にはPayPayとのID連携にも踏み出す方針も示された。連携を通じて、ユーザーごとの広告表示の適正化を進めて広告単価を引き上げるほか、グループ内サービスの相互利用につなげることを目指す。

再成長を期すべく、まさに勝負の年が始まったZHD。しかし同社にとって2023年度は、別の意味での勝負が待ち受けている。東京証券取引所の最上位であるプライム市場から、脱落する瀬戸際に立たされているのだ。

市場再編に伴い、東証1部からプライム市場へと華々しく移行して1年。時価総額2.7兆円の巨大企業に何が起きているのか。

流通株式比率の基準に引っかかる

発端は2021年9月。東証が市場再編に先立って各企業に通知した市場区分への適合判定で、ZHDは「プライム基準」に未達だったことが判明した。時価総額や株主数などの基準は余裕でクリアしたが、流通株式比率がネックとなった。

流通株式比率とは、企業が発行しているすべての株式から、自社が保有する自己株式や、大株主の保有分、銀行や事業会社との持ち合い株などを除いた株式の比率だ。プライム市場に上場するには「35%以上」が条件となるが、ZHDの場合は33.9%(2021年6月末時点)だった。

基準未達でもプライム市場に移行することはできた。基準をクリアする期限や、そのための改善策を記した計画書を提出すれば、“経過措置”として上場が認められたからだ。

流通株式比率を上げるためには、大株主に株式を売却してもらう、自己株式を消却する、新たに株式を発行するなどの方法がある。ZHDは、親会社(ソフトバンクグループが出資する中間持ち株会社・Aホールディングス)が保有する株式を売り出してもらうことにした。

プライム上場の基準を満たすため、同じく親会社に株式を売却してもらったのが、ゆうちょ銀行だ。ゆうちょ銀行株の9割近くを保有していた日本郵政は2023年3月、1.2兆円規模の株式を公募で売り出し、保有比率を6割まで下げた。

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