最初に認識してほしい点があります。
それは、「顔」という画像情報と「名前」という文字情報を同時に覚える作業は、かなり高度な営みだという事実です。
そもそも「名前」という単なる文字情報を、確実に長く覚える作業自体が難しいこと。
なぜなら「名前」を見聞きするだけでは、喜怒哀楽の感情は湧かないからです。脳は、感情が動いたときにしっかり記憶できるという性質を持っています。
このような難しさがあることから、私が参加している記憶競技(メモリースポーツ)にも、顔と名前を記憶する種目が存在します。
問題用紙に何十人もの顔写真と名前が印刷されており、それを制限時間内に記憶するという競技です。
また世界中から選手が集まる大会ですから、「名前」といってもグローバルなものです。
たとえば「バシングスン・ウエイト」「ダヴィダシュベリ・オムディヤラ」など。
その複雑さから、もはや「名前」という認識ではなく、「長い固有名詞を覚える」という感覚で記憶に臨んでいました。
勝手な「こじつけ」で自分を楽しませる
「自分にはとても記憶できない」、そう感じる方もいるかもしれません。
ですが、人の心理を利用すると誰でも簡単に覚えることができます。
例を挙げてみると、「バシングスン・ウェイト」という名前を覚えたい場合。名前自体に意味はないので、次のような物語を自力で一瞬で作ります。
「この人はボクサーで、大会直前なのに減量がうまくいっていない。それをトレーナーに叱られて、体重計の上でうなだれている」
そしてビジュアルで「バシンとやられ、ウェイト計に乗り、グスンと泣いている男性」をイメージするのです。
このように自分でストーリー(物語)を作り、ビジュアルで思い浮かべ、「叱られてかわいそうだな」などと感情を動かすと、脳が記憶を定着させてくれます。
詳しく言うと、脳の中で感情に反応する扁桃体という部位が反応し、それに伴って隣の海馬が強く反応し、正確に長く覚えられるというわけです。
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