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松下幸之助氏(左)と庭の鉢植えを楽しむ、むめの夫人(昭和50年8月、兵庫県西宮市の自宅で)(写真:読売新聞/アフロ)
昭和の大経営者である松下幸之助。彼の言葉は時代を超えた普遍性と説得力を持っている。しかし今の20~40代の新世代リーダーにとって、「経営の神様」は遠い存在になっているのではないだろうか。松下幸之助が、23年にわたって側近として仕えた江口克彦氏に口伝したリーダーシップの奥義と、そのストーリーを味わって欲しい。(編集部)
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昭和54年(1979)10月、ある婦人雑誌の取材。インタビュアーは、確か、上坂冬子氏だったと思う。この日は、朝から体調がいいのだろう、松下幸之助は、楽しそうに応じていた。“松下さんの奥様はどういう方ですか。あまりマスコミに出ていらっしゃいませんが……”と質問すると、松下は、笑いながら、ユーモアを交えて、話を始めた。
夫人は、合理的でしっかりした女性
「家内ですか。う~ん、そうですなあなかなか文句の多い人ですわ。負けん気が強いですな。私の今日までの歩みは、奥さんと闘い仕事と闘いですわ。気ぃ強いですからね。だから、ある場合には間に合うけどある場合には困ると。
そうですなあ、まあ代議士にしてもいいほどですわ。しっかりしている。けど、しすぎてもいる。あんまり、外に出たがりませんな。
話したらなかなかよう喋りますけど、写真をとってもらったり、表に出たりするのは嫌がりますな。そういう点では明治の女ですわ」
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