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松下幸之助夫人に起きた「奇跡」とは? 「奥さんに奇跡が起こったんや」

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  • 江口 克彦 一般財団法人東アジア情勢研究会理事長、台北駐日経済文化代表処顧問
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「けど、80年間お互い元気で、一緒にここまでこれたということはこれは幸せですな。家内はね、なかなかへっこんではいませんで。人生いろいろありますわね。悲しいときとか、そんなときでも涙を流しませんな。悲しんで泣くなら、私は歓迎するんやけど。なんか、問題が起こったときなんか交渉に行かせることもありましたけどまあ、ちゃんと自分の主張を通してきますな。そういう意味では便利です。

それに気性が激しいですからな。仕事始めた頃は、家内と共稼ぎでしたやろ。いまの言葉で言えば、共働きですわな。その間、よう意見が対立しましたわ。ちょっとやそっとでは自分の信念、曲げへんでぇ。だから時として、シャクにさわりますわね。しかしそこがまた、家内のええところでもあるわけですわ。そうですな。子どもは2人でしたけど、ひとり、小さい頃、死にましてね。う~ん、あんまり、その子のこと考えるというようなこともありませんけど、それでも時折、いま生きておったらとそりゃ考えることもありますなぁ」

合理的でしっかりした女性だった

50年どころか60年も夫婦生活をして初めて、こういう話もできるのだろう。10年、20年では、こういう話は笑い話にはならない。夫人は、合理的でしっかりした女性。また、いろいろと細かいことに気がつく配慮の行き届く人であったが、この取材は抱腹絶倒の取材に終始した。

夫人といえば、こんなことがあった。西宮の自宅で、私と同僚の2人が夫人から、「あんた方の奥さんに」と言って頂き物をした。当然、私の家内も彼の奥さんも礼状を出した。翌週西宮に行くと、夫人に私達2人は呼ばれた。

「江口さんの奥さんは、江口が日頃大変お世話になっています、とちゃんと正しく書いているのよ。ところがあんたの奥さんは、主人が日頃お世話になっています、って。これ、あんたおかしいことがわからへんの。“主人”って、誰のことを言うてるの? 私に対して“主人”とは、どういうことよ」と同僚を叱責した。叱責しつつ、教えているのである。そういう夫人であった。

昭和59年(1984)9月の日曜日。呼び出しがあり出かけた。このところ、ずっと体調がよろしくないので心配しつつ部屋に入ると意外にもスッキリした雰囲気であった。

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【幸之助が上機嫌に語ったこと】

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