昭和の大経営者である松下幸之助。彼の言葉は時代を超えた普遍性と説得力を持っている。しかし今の20~40代の新世代リーダーにとって、「経営の神様」は遠い存在になっているのではないだろうか。松下幸之助が、23年にわたって側近として仕えた江口克彦氏に口伝したリーダーシップの奥義と、そのストーリーを味わって欲しい。(編集部)
『論語』で、孔子が「人、遠き慮(おもんぱか)りなければ、必ず近き憂いあり」(衛霊公第15)と言っていることは、あまりにも有名だ。「つねに将来を思い、将来がどうなるか、そういうことに思いをめぐらし、そして、それでは、いま、なにをすべきかということを考えるようにしないと、必ず、身近なところで、問題が起こるものだ」。
だから、いま、“なにをやるか”は、将来がどうなるか、将来になにをするかで決まってくる。そのために、「将来」を、どう考え、とらえるかが重要になってくる。
松下幸之助89歳の1984(昭和59)年5月。この日は、あまり体調がよくない。
つい先日まで、壁に手作りの五十音表を貼り、それを見ながら、あー、いー、……まー、みー、むーと発声練習をしていたが、この頃は、さくら、ふじさん、会社、新聞、自動車、プログラム、ニューメディア、カセット・デッキという8語が表になっているボードを前に発声練習していた。
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