松下幸之助が"電算機撤退"を決断したワケ 「先を読んでから、今どうするかを考えや」

✎ 1〜 ✎ 40 ✎ 41 ✎ 42 ✎ 最新
拡大
縮小
IBMのS/360。松下は、電算機事業からは早々と手を引いた。それはなぜなのだろうか(IBMのホームページより)
昭和の大経営者である松下幸之助。彼の言葉は時代を超えた普遍性と説得力を持っている。しかし今の20~40代の新世代リーダーにとって、「経営の神様」は遠い存在になっているのではないだろうか。松下幸之助が、23年にわたって側近として仕えた江口克彦氏に口伝したリーダーシップの奥義と、そのストーリーを味わって欲しい。(編集部)

『論語』で、孔子が「人、遠き慮(おもんぱか)りなければ、必ず近き憂いあり」(衛霊公第15)と言っていることは、あまりにも有名だ。「つねに将来を思い、将来がどうなるか、そういうことに思いをめぐらし、そして、それでは、いま、なにをすべきかということを考えるようにしないと、必ず、身近なところで、問題が起こるものだ」。

当連載の関連書籍「ひとことの力」は好評発売中。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

だから、いま、“なにをやるか”は、将来がどうなるか、将来になにをするかで決まってくる。そのために、「将来」を、どう考え、とらえるかが重要になってくる。

松下幸之助89歳の1984(昭和59)年5月。この日は、あまり体調がよくない。

つい先日まで、壁に手作りの五十音表を貼り、それを見ながら、あー、いー、……まー、みー、むーと発声練習をしていたが、この頃は、さくら、ふじさん、会社、新聞、自動車、プログラム、ニューメディア、カセット・デッキという8語が表になっているボードを前に発声練習していた。

次ページいまあるのは、五代さんのお蔭
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT