⑤過小な要求 ④とは逆に、能力や地位に応じた仕事を与えないこと。例えば、役職者にゴミ拾いやシュレッダーをかけることのみを命じる、など。
⑥個の侵害 労働者の個人事情に過度に立ち入った詮索、仕事に関係ない電話を長時間続けるなど、プライバシーに立ち入る行為。宗教上の行為を揶揄したり、本人のセクシュアリティをからかう行為も該当する。
ハラスメント行為は複数の類型を伴うこともあります。例えば、厳しすぎる営業ノルマを課し、全社員の前で未達状況を罵倒する(②+④)、歓迎会で飲酒を強要し、断った社員には仕事を与えない(①+⑤+⑥)です。
パワハラは時間の経過とともに状況が悪化します。「パワハラかも?」と思ったら、1人で悩まずに信頼できる上司や先輩、社内窓口に相談しましょう。
上司から「お前」と呼ばれる
相談:上司から名前ではなく「お前」と呼ばれますが、やめてほしいです
親しみの現れとして「お前」呼びをする人もいるのでしょうが、それは古い価値観です。
上司に対して呼び方を改めるよう、ハラスメントの社内相談窓口を活用したり、人事担当者に相談して改善を促してもらうといいでしょう。なお、厚生労働省はパワハラ防止措置*2として、労働者向けの相談窓口の設置や、適切な対応を取るための体制整備を義務づけています。
「お前」という呼びかけが問題なのは、「あなたと私は対等な存在ではない」という意識があるからです。厚生労働省は、パワハラは次の3項目を満たすとしています。
① 地位や立場、知識などに偏りがあるなど圧力がかかりやすい関係で、
② 業務上必要な範囲かつ相当な範囲を超えた言動により、
③ 労働者の就業環境が害される。
上司・部下の関係性は①に該当し、「お前」と呼ぶのは②に該当します。ですから、問題になるのは③の程度ということになるでしょう。
実際のところ、「お前」と呼ばれるだけの事実ではパワハラと判断されにくいと思われます。
しかし、社内でたった1人だけが「お前」と呼ばれるのは恣意的ですし、自分たちは対等ではないという意識を誘発する言葉遣いといえます。「お前」という呼びかけは敬語が使いづらいものです。自分と相手との関係において、「お前と呼んでも許される」と、無意識で考えているといってもいいでしょう。
パワハラの行為者は、自分がパワハラをしているという意識を持っていないものです。相手の不快感に気づかず、自覚がないからやってしまうのです。したがって、こうした不快感がある場合は、相手にきちんとその事実を認識させることが重要です。
① 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
② 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③ 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
④ 併せて講ずべき措置(プライバシー保護、不利益取り扱いの禁止等)
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