「上司からSNSで友だち申請」どう対応したらいい 就業規則のグレーゾーン問題を社労士が解説

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また、ミスやクレームで損害があるなどの合理性のある場合を除いて、部下から仕事を取り上げる、チームでの仕事から外して情報を渡さないといった行動に出ると、「過小な要求」「人間関係からの切り離し」と判断されることもあります。

自分の指示や指導がパワハラに当たるかと悩んだら、まずはパワハラ6類型に該当するかを確認しましょう。また、パワハラと言われないような注意の仕方、態度を示すのも大切です。注意をするときは、冷静に具体的な事実と改善点を伝え、感情的にならないように心がけましょう。

*1 厚生労働省が規定するパワハラ6類型はこのあと解説します。

パワハラの3要素と6類型

職場におけるパワハラは3要素を満たし、6類型のいずれかに該当するものをいいます。厚生労働省では3要素を次のように定義しています。

「優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われ、業務の適正な範囲を超えて行われるものであり、身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること」

●パワハラの3要素

Ⅰ 上司と部下や、経営者と労働者など、職場における上下関係があったり、同僚や部下でも「集団と個人」の関係になったり、知識の有無によって一方に優位性があるような場合で、上位の者の言動を抵抗や拒絶できない状態にあること。

Ⅱ 仕事に必要な範囲を超えた態度であること。例えば、業務上、明らかに必要性のない言動や業務の目的を大きく逸脱した言動、業務を遂行するための手段として不適当な言動、当該行為の回数、行為者の数など、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動があること。

Ⅲ Ⅰ、Ⅱのような状況があることによって、労働者が身体的または精神的に苦痛を感じたり、それによって職場環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること。

3要素では特にⅡが問題になります。

例えば、遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意しても改善されない労働者に対して一定程度強く注意することや、その企業の業務内容や性質に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意することはパワハラに該当しないとされています。

●パワハラの6類型

①身体的侵害 殴る、蹴る、叩くなどの物理的な攻撃を指す。身体へ行われるものはもとより、机やイスに対するものも含む。

②精神的侵害 人格否定にあたる言葉や、度を超えた叱責の継続、長時間叱り続けるなどの精神的な攻撃を指す。

③人間関係からの切り離し 1人だけ別室で作業させる、チームから外す、社内行事に1人だけ呼ばない、集団で無視するなど、職場内での人間関係を壊す行為。

④過大な要求 達成不可能な目標を掲げさせ、未達を厳しく叱責する、明らかに知識や能力を超えた仕事をさせる、肉体的に負荷の強すぎる仕事に従事させるなど、労働者に重すぎる仕事を課すこと。

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