「上司からSNSで友だち申請」どう対応したらいい 就業規則のグレーゾーン問題を社労士が解説

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上司から「友だち申請」って…。悩ましい職場のグレーゾーン問題について解説します(写真:shimi/PIXTA)
組織で働く人なら誰しも一度は目にしたことがある「就業規則」。しかし、入社時に人事から説明を受けたきり、その後しっかりと目を通す人は少ないかもしれません。
コロナ禍でいっきに加速した働き方改革により、現在日本社会では多種多様な働き方が定着しつつあります。しかし、法律は簡単に変えられないため、現状に対応できていない場面も多くみられます。労務にまつわるさまざまな法律と、企業で定められた「就業規則」の間にはセーフ?アウト?と悩ましい「グレーゾーン」の問題が出てきます。
そんな職場の労務にまつわるモヤモヤとした悩みを、社労士の村井真子さんが解説・『職場問題グレーゾーンのトリセツ』より一部をご紹介します。

仕事上の注意をしたらパワハラと…

相談:仕事上の注意をしたら、部下に「パワハラです」と言われました。

アドバイス:仕事に必要と認められる範囲の業務指示・指導はパワハラにはあたりません。

パワハラとは「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること」を指します。したがって、これに該当しない仕事を進めるうえでの指示や指導はパワハラにはあたりません。

仕事として指示や指導を行うのは、仕事を円滑に進めていくうえで当然のことです。成果物への認識が違っていれば修正が必要ですし、納期が決まっているものは厳格なタイムマネジメントも必須です。

また、ミスがあった場合に指摘したり、重大なエラーに関しては厳重に注意することも仕事の上で必要であれば当然に行うべきものです。

むしろ、パワハラと言われることを恐れるあまり、まったくそうした指示・指導ができなくなるのであれば、指導者側の職務遂行能力を疑われてしまうでしょう。

問題になるのは、無自覚に行き過ぎた指示・指導をしてしまっている場合です。熱血指導が行き過ぎて根性論や精神論を持ち込んだり、仕事上のミスと人格を結び付けるような叱責はパワハラと受け取られる可能性が高まります。

精神的な攻撃と受け取られるような威圧的な言葉選びや、感情が高ぶって机を叩く、こぶしを見せるなどの行動はパワハラ6類型*1のうち「精神的な攻撃」「身体的な攻撃」に該当するので、このような言動をしているときはただちに改善が必要です。

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