「退勤後に上司からLINEで指示」応じる必要性は? 職場の労務にまつわるモヤモヤを社労士が解説

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退勤後の業務指示はセーフ?アウト?(写真:Luce/PIXTA)
組織で働く人なら誰しも一度は目にしたことがある「就業規則」。しかし、入社時に人事から説明を受けたきり、その後しっかりと目を通す人は少ないかもしれません。
コロナ禍でいっきに加速した働き方改革により、現在日本社会では多種多様な働き方が定着しつつあります。しかし、法律は簡単に変えられないため、現状に対応できていない場面も多くみられます。労務にまつわるさまざまな法律と、企業で定められた「就業規則」の間にはセーフ?アウト?と悩ましい「グレーゾーン」の問題が出てきます。
そんな職場の労務にまつわるモヤモヤとした悩みを、社労士の村井真子さんが解説。『職場問題グレーゾーンのトリセツ』より一部をご紹介します。

勤務時間外の連絡には応じるべき?

相談:退勤後も上司からLINEで業務指示!リラックスできません

アドバイス:会社の指揮命令下で仕事をすれば「労働時間」です。

産業能率大学の調査*1では「上司への報告や連絡手段として最も使いやすいのはどれか」という問いに対し、新入社員の24.7%がメール、19.5%がLINEと答え、電話の10.4%を上回りました。このように、仕事でもLINEなどのメッセンジャーアプリを使うことは一般的になりつつあります。

こうしたツールはとても便利ですが、反面、いつでもどこでも連絡がつく状態を作り出します。上司から仕事の指示が飛んでくると、休んだ気がしないでしょう。

業務指示として対応を求められたら、それは労働時間と考えられます。退勤後の残業時間として上司に申告しましょう。もし上司が残業として認めないのであれば、勤務時間後の通知は対応しなくても問題ありません。

どうしても緊急対応をしてほしいという事情があるときは、緊急時は電話で依頼するなどのルール作りをしたほうがいいでしょう。厚生労働省のガイドライン*2でも、労働者が時間外の連絡に対応しないことを理由に、不利益な人事評価を行うことは不適切だとしています。

昨今、世界中で定着しつつある考え方に「つながらない権利*3」というものがあります。これは、勤務時間外や休日に仕事のメールや電話への対応を拒否する権利のことです。

しかし、2021年の民間調査*4では、就業時間外での業務に関する緊急性がない連絡に対して、「連絡があったら対応する」とした人は64.9%に達しました。こうした人は「気になることは早く終わらせたい」(68.4%)傾向があることもわかっています。

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