長篠の戦いを圧倒的有利に導いた籠城戦の裏事情 弟と幼妻を犠牲にした城主と鳥居強右衛門の忠義

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長篠の戦い(設楽原の戦い)のあと、信昌は正式に父定能から家督を継ぎ、家康の娘婿として厚い信頼を得ることになります。後年、家康の腹臣である石川数正が豊臣秀吉のもとへ出奔するという事件が起こった際には、数正から秀吉に軍事機密が漏れることを避けるべく、信昌は軍法そのものを武田信玄のものに変えるという大事業を担当して功績をあげます。

大大名への大出世の裏にある犠牲

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関ケ原の戦いのあとは、混乱する京を治めるため京都所司代に任じられ安国寺恵瓊の捕縛などを行いました。その功を評価され、美濃国加納10万石を与えられます。

奥三河の有力国人から、大大名への大出世でした。その要因になったのは、信玄死後の徳川への再帰属の判断であったことは間違いありませんが、その前に16歳で命を散らしたおふうや弟たちの悲しい犠牲があったことを、いま一度付け加えておきます。

眞邊 明人 脚本家、演出家

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まなべ あきひと / Akihito Manabe

1968年生まれ。同志社大学文学部卒。大日本印刷、吉本興業を経て独立。独自のコミュニケーションスキルを開発・体系化し、政治家のスピーチ指導や、一部上場企業を中心に年間100本近くのビジネス研修、組織改革プロジェクトに携わる。研修でのビジネスケーススタディを歴史の事象に喩えた話が人気を博す。尊敬する作家は柴田錬三郎。2019年7月には日テレHRアカデミアの理事に就任。また、演出家としてテレビ番組のプロデュースの他、最近では演劇、ロック、ダンス、プロレスを融合した「魔界」の脚本、総合演出をつとめる。

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