「7年間のうつ」を脱した医師のシンプルな食事法 気合いだけで「自分」を変えるのは簡単ではない

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それなら、物事をネガティブにとらえがちな心を変えればいいじゃないか、ということになりますが、それがとても難しいのです。心の不調に悩む人は、完璧主義だとか、断れない性格だとか、まじめなタイプだとか、人の目が気になるタイプだとかいわれますが、何年もかけてつくってきた「自分」を、気合いだけで変えるのは簡単ではありません。

といって、ストレスそのものを排除できるかというと、それも難しいものです。人間関係のストレスには相手がいるので自分だけでは解決できませんし、リストラや身近に起きる不幸などは、自分ではどうすることもできません。

私の場合、その場の気持ちを抑えてくれる薬に頼りましたが、原因を解決できていないので、うつは一向に治りません。

そんな私でしたが、うつからすっかり抜け出すことができました。

性格は変わりませんし、仕事も、生活環境も、人間関係も、まったく同じでしたが、変えたものが1つだけありました。

それは「食事」です。

心と体は食べたものでできている

心の不調と食事。一見、関連があるように思えないかもしれません。でも、私たちの体は食べたものでつくられていて、食べることで生命活動を維持しています。心の動きや脳の活動も、もちろん食べることによって支えられています。考えてみると、メンタルと食事に関連がないわけがないのです。

そのきっかけを与えてくれたのが、アメリカの経営コンサルタントであるジェームス・スキナー氏の『成功の9ステップ』という成功哲学の本の中で紹介されていた「ナチュラルハイジーン」という食事法と、もう一つ、医師の甲田光雄先生が考案した「西式甲田療法」という健康法です。

これらの理論を参考に生まれたのが、私が提案する「宮島式食事法」です。ポイントはいくつかあるのですが、まず私が取り組んだのは「体に負担をかけない食事を心がける」ことでした。

食べることは、意外に体を疲れさせる行為です。こう言うと、逆では? と思われるかもしれません。疲れを取って元気になるために食べるのでは、ということです。確かに、私たちの体は食べ物からの栄養を活動のエネルギーに換えています。

しかし、栄養を体に行き渡らせるには消化吸収が必要です。その前段階として食べ物の分解も必要です。つまり、食べることは、胃腸や肝臓など消化器官に負担をかける行為でもあるのです。

体は、胃腸や肝臓に頑張って働いてもらうために、大量の血液を送らなければなりません。それと同時に、消化酵素など大量の体内酵素も動員されます。酵素は栄養の消化吸収、そして分解と、すべてにわたって必要な体内物質だからです。消化吸収の担い手は、この酵素といってもいいと思います。

食べることは、消化器官からすれば一大イベントで、かなりの活動エネルギーを必要とします。だから、食べているときより食べた後のほうが疲れます。一説によれば、三度の食事はフルマラソンに匹敵するカロリーを消費するともいわれます。毎日フルマラソンを走れば、それは疲れると思いませんか?

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宮島 賢也 精神科医・産業医

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みやじま けんや / Kenya Miyajima

1973年、神奈川県生まれ。防衛医科大学校卒業。研修中、意欲がわかず精神科を受診、うつ病の診断を受ける。自身が7年間抗うつ剤を服用した経験から、「薬でうつは治らない」と気づき、食生活と考え方、生き方を変え、うつ病を克服する。その経験を踏まえ、患者が自ら悩みに気づき、それを解決する手伝いをする方向へと転換。うつの予防と改善へ導き、人間関係を楽にする「メンタルセラピー」を考案する。心の深い世界を知ったことから、さらに探求を開始し、現在は産業医などをしながら、心の不調の予防や教育により一層関われる方法を模索中。

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