糖質制限ダイエットに隠れた「危険な落とし穴」 「流行りのダイエット」を鵜呑みにできない理由
糖質制限によるダイエットがブームです。わたしの周囲にも、「白米を食べないようにしている」と話す人が増えています。コンビニやスーパーで売られているサラダチキンは、糖質制限の追い風もあって、売り上げが増えて、種類も豊富になっています。
今までは、ダイエットというと「全体のカロリーを下げる」のが主流でした。しかし、糖質制限をすると効率よく体重が落ちることがわかり、昨今の糖質制限のダイエットブームにつながりました。
糖質制限に関しては、「やせることができ、健康によい」という意見と、「やせる一方で、健康被害が出ている」という意見があります。実際のところはどうなのか見ていこうと思います。
糖質制限をすると、減量効果があることは数々の研究でわかっていますが、「減量効果」がはたして「健康」と直結するのかどうかが重要です。「やせる」というのは、あくまで「健康になる」ことの通過点にすぎないので、最終目標がどうなのかを検討することが必要だからです。
医学的に「健康になる」とはどんな状態か?
まず考えなければならないのは、「健康になる」という目標が、どんなことであるのか、ということです。普段生活している中で、わたしたちは、漠然と「やせる」「運動する」「野菜を食べる」と考えますが、医学的には、「死亡率を減らす」「心筋梗塞などの深刻な病気を減らす」ことが取りあえずのゴールになります。
「健康」というと、メンタル面や生きがいなど、実際にはもっと多くの要素があるのですが、糖質制限などの食事法・健康法について検討する場合には、その「良い」「悪い」は、死亡率や深刻な病気のリスクという観点から検証しているということを踏まえて、以降の文章を読み進めてください。
世の中には、「糖質制限」をはじめとして、「脂肪制限」「カロリー制限」など、さまざまな食事法があります。
これまでの研究では、糖質制限は、脂肪制限と同じような減量効果があることがわかっています(※1)。また、心筋梗塞や脳梗塞などを起こりやすくする因子(これをリスク因子と言います)を改善する可能性も指摘されています(※2)。
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