糖質制限ダイエットに隠れた「危険な落とし穴」

「流行りのダイエット」を鵜呑みにできない理由

炭水化物は、量ではなく、質が大事なのだ、という研究も多くあります。具体的には、白いパンよりも、全粒粉を使ったほうがいいという結果です。

イギリスの医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』に掲載された論文によると、「全粒粉は、心筋梗塞やがんによる死亡リスクを下げる」という結果が示されています(※3)。

欧米およびアジアの複数の研究を統合したメタアナリシスで、白米は糖尿病のリスクを上げるという結果も出ており(※4)、日本においても、白米を多く摂る女性は糖尿病のリスクを上げるという研究があります(※5)。

しかし、日本人において、白米と玄米を比較した質の高いエビデンスがあるわけではありません。

糖質制限で「死亡リスクが増える」研究も

一方、糖質制限では、糖質を控えたぶん、相対的に脂質を多く摂取しがちになるため、かえって死亡リスクが増えるのではないかという意見があります。2019年、欧州心臓学会誌に、糖質制限食を続けると、心血管系の合併症(心筋梗塞などの血管が詰まる病気)が増えて死亡リスクが上がるという研究結果が報告されました(※6)。

薬による治療や食事療法を行うのは「死亡リスクを下げる」のが最終目的です。ダイエットにより、体重が減って一見健康になったようにみえても、死亡する人が増えては意味がありません。このエビデンスからは、糖質制限は長期的には健康によくないという可能性も否定はできなさそうです。

最後に、ハーバード大学の長期研究を紹介しましょう。25年の長期にわたって、炭水化物の摂取量と、病気や死亡率との関係をみた研究です。

その結果、「炭水化物の摂取が多すぎても少なすぎても死亡リスクが高い」という結果が出ました(※7)。炭水化物のエネルギー割合が50-55%の人がもっとも死亡率が低く、40%未満と70%以上はいずれも死亡リスクが高かったのです。

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