糖質制限ダイエットに隠れた「危険な落とし穴」 「流行りのダイエット」を鵜呑みにできない理由
ただし、もっとも大切なのは、「長期間にわたって、死亡率を改善するのかどうか」ということです。糖質制限においては、「長期にわたる研究」が絶対的に少ないのです。「メタアナリシス」もいくつかありますが、1年程度の研究も多く、何十年にわたって検証されたものはほとんどありません。最終的な結論を出すには、もう少し時間が必要でしょう。
また、糖質制限の効果については、「研究対象がどんな人か」にも注意を払わなければなりません。「糖尿病患者」に対して効果があっても、一般の人に対して効果があるかどうかはわからないからです。
糖質制限だけではなく、食習慣に関する膨大な最新のエビデンスを見ていくと、死亡リスクを減らす「よい食事」と考えられるものと言えば、「肉よりも魚を摂取したほうがよい」「肉の中では、牛や豚、あるいはハムなどの加工肉よりは、鶏肉を食べたほうがいい」「白いパンよりも全粒粉などの茶色いパンがいい」「食物繊維をたくさん摂ったほうがいい」などがあります。
「ほどほどに、適切な範囲で」
このような「常識」を念頭に置きつつ、極端に走らず、結局のところ「ほどほどに、適切な範囲で」を守ることが重要だと言えそうです。
わたしは、人間ドックの結果説明の際には、「食事はバランスが一番大事です。何かをやめればいいものでもないし、特定の食品ばかり摂取すればいいものでもありません。極端な糖質制限はお勧めしません。全体のバランスを考える必要があります」と、お話ししています。
25年間にわたるハーバード大学の研究とも一致する考えです。糖質制限をするにしても、あまり極端ではなく、ゆるやかな形でされるのがいいと思います。
men and women: the Japan Public Health Center–based
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