糖質制限ダイエットに隠れた「危険な落とし穴」 「流行りのダイエット」を鵜呑みにできない理由

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ただし、もっとも大切なのは、「長期間にわたって、死亡率を改善するのかどうか」ということです。糖質制限においては、「長期にわたる研究」が絶対的に少ないのです。「メタアナリシス」もいくつかありますが、1年程度の研究も多く、何十年にわたって検証されたものはほとんどありません。最終的な結論を出すには、もう少し時間が必要でしょう。

『「エビデンス」の落とし穴』(青春出版社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

また、糖質制限の効果については、「研究対象がどんな人か」にも注意を払わなければなりません。「糖尿病患者」に対して効果があっても、一般の人に対して効果があるかどうかはわからないからです。

糖質制限だけではなく、食習慣に関する膨大な最新のエビデンスを見ていくと、死亡リスクを減らす「よい食事」と考えられるものと言えば、「肉よりも魚を摂取したほうがよい」「肉の中では、牛や豚、あるいはハムなどの加工肉よりは、鶏肉を食べたほうがいい」「白いパンよりも全粒粉などの茶色いパンがいい」「食物繊維をたくさん摂ったほうがいい」などがあります。

「ほどほどに、適切な範囲で」

このような「常識」を念頭に置きつつ、極端に走らず、結局のところ「ほどほどに、適切な範囲で」を守ることが重要だと言えそうです。

わたしは、人間ドックの結果説明の際には、「食事はバランスが一番大事です。何かをやめればいいものでもないし、特定の食品ばかり摂取すればいいものでもありません。極端な糖質制限はお勧めしません。全体のバランスを考える必要があります」と、お話ししています。

25年間にわたるハーバード大学の研究とも一致する考えです。糖質制限をするにしても、あまり極端ではなく、ゆるやかな形でされるのがいいと思います。

(※1)Johnston BC et al.“Comparison of Weight Loss Among Named Diet Programs in Overweight and Obese Adults. A Meta-analysis”JAMA.2014; 312(9):923-933.
(※2)Ebbeling CB et al. Effects of a Low–Glycemic Load vs Low- Fat Diet in Obese Young AdultsA Randomized Trial. JAMA. 2007;297(19):2092-2102
(※3)Aune D et al. Whole grain consumption and risk of cardiovascular disease, cancer, and all cause and cause specific mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. BMJ. 2016 Jun 14;353:i2716.
(※4)EA Hu et al. White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review. BMJ. 2012;344:e1454.
(※5)Nanri A et al. Rice intake and type 2 diabetes in Japanese
men and women: the Japan Public Health Center–based
Prospective Study. Am J Cin Nutr. 2010 Dec;92(6):1468-77.
(※6)Mazidi M et al. “Lower carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality: a population-based cohort study and pooling of prospective studies”European Heart Journal 40,
2870–2879, 2019
(※7)Siedelmann SB et al.“Dietary carbohydrate intake and
mortality: a prospective cohort study and meta-analysis”
Lancet. 2018;3(9):E419-428
(※8)Ge L et al.“Comparison of dietary macronutrient patterns
of 14 popular named dietary programmes for weight and cardiovascular risk factor reduction in adults: systematic review and network meta-analysis of randomised trials”BMJ 2020; 369:m696
松村 むつみ 医師・医療ジャーナリスト

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まつむら むつみ / Mutsumi Matsumura

1977年愛知県生まれ。医師・医学博士・医療ジャーナリスト。2003年、名古屋大学医学部医学科卒。03年、国立国際医療センター(現・国立国際医療研究センター)臨床研修医。06年、横浜市立大学病院附属市民総合医療センターの放射線医学教室に入局、勤務医として大学病院に従事しながら研究を続け、放射線診断専門医、核医学専門医、博士号(医学)を取得。17年よりフリーランスの画像診断医に。同時期より各種メディアに医療記事を執筆。一般の人への医療リテラシー向上に貢献するべく幅広く活動している。日本医学ジャーナリスト協会会員、アメリカヘルスケアジャーナリスト協会会員。

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