セブン&アイ井阪体制続投で問われる「真の手腕」 スーパーを3年で利益体質、カギは縦割り打破
注目された「物言う株主」との対決はあっさりと幕を閉じた。5月25日に開かれたセブン&アイ・ホールディングスの株主総会は、投資ファンドからの株主提案を否決、井阪隆一社長らの再任が決まった。
総会に向けては3月にアメリカの投資ファンド、バリューアクト・キャピタルが、井阪社長ら4人の取締役の退任を実質的に求める株主提案を行っていた。
セブン&アイの取締役会は4月中旬、株主提案に対する反対を正式に表明。そもそもバリューアクトの株式保有比率は4.4%に過ぎない。当時は「(現体制に)いろいろ問題はあるけど、そうはいっても最高益をたたき出すほど絶好調だから株主提案は通らないだろう」(セブン&アイグループ幹部)といった楽観的な見方が多かった。
しかし5月に入りアメリカの大手議決権行使助言会社、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスが、井阪社長ら会社提案の取締役選任案にそろって反対を推奨すると、楽観論が後退。メディアを通じて互いの主張を展開し合うなど、攻防が続いていた。
「例年と変わらない平凡さ」
JR四ッ谷駅近くのセブン&アイ本社で午前10時から始まった株主総会には、昨年より187人多い436人の株主が参加した。冒頭に2023年2月期の業績概要が示された後、議長を務める井阪社長が会社提案と株主提案の概要を淡々と説明。「提案を行っている株主様、ご説明なさいますか」とバリューアクト側に発言の機会を与えたものの、その場で手をあげるものはいなかった。
続く質疑応答では、難航する百貨店のそごう・西武の売却について、井阪社長が「今の段階でプロジェクトを中止する考えはない」と改めて表明した以外に目立った内容はなかった。全10の質問のうちの5つは「井阪派」ともいえる、セブン-イレブンを運営するオーナーからのもの。毎年参加しているという株主は、「例年と変わらない平凡さだった」と語った。
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