イオンが首都圏スーパーを次々に「呑み込む」事情 いなげやを連結子会社にするに至った背景

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首都圏の食品スーパーはどうなっていくのか(写真:編集部撮影)

首都圏地盤の食品スーパーいなげやを連結子会社にすると発表したイオン。これまでもイオンは、いなげやの株式の17%を所有する大株主だったが、11月をメドに出資比率を51%に引き上げる。

その後、2024年11月にはイオングループの食品スーパーのユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)と経営統合する予定だという。

物価上昇の影響を大きく受ける食品スーパー業界でいま、何が起こっているのか。

いなげや合流後の新USMHは国内トップシェアに

USMHは食品スーパー国内2位、いなげやが合流した後の新USMHは、業界1位のライフコーポレーションを抜いて、国内トップシェアとなる。特に新USMHは首都圏の大手食品スーパー、マルエツ、カスミ等を統合しているため、いなげやを併せて首都圏での存在感は圧倒的なものとなる。

全国展開するイオンは、営業収益9兆1000億円をさまざまなセグメントで構成しており、3.3兆円が総合スーパー(GMS)、2.6兆円を食品スーパー(SM)、1.1兆円をヘルス&ウエルネス(ドラッグストア)が占めている。積極的なM&Aで事業拡大を続けるイオンはこの10年では、食品スーパーで1.2兆円、ドラッグストアで1兆円ほど増やしてきた。

食品スーパー、ドラッグストアは、全国各地で発祥した多様な企業が各地域で存在感を示してきたが、イオンは地域の食文化とも密接な食品スーパーについては、地域ごとの子会社を軸にM&Aを進めてエリアシェアを拡大してきた。今では幕張(千葉市)に本社を置いているものの、元々は三重県出身のイオンは首都圏の食品流通における存在感は大きくなかった。

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