1つは誘意性で、これはポジティブとネガティブのどちらかであり、自分の気分の良しあしを表す。もう1つは覚醒性で、これは誘意性の強度、つまりどのくらい強くポジティブまたはネガティブであるかを指す。
ポジティブなコア・アフェクトの場合は、すべてが順調に思える。一方、ネガティブなコア・アフェクトは警報を発する。その覚醒性が高いと警報が激しく大きく鳴り響き、なかなか無視できなくなる。
物理的環境からの影響
コア・アフェクトはおもに体内の状態を反映するが、それとともに物理的環境からも影響を受ける。
芸術作品やエンターテインメント、映画の楽しいシーンや悲しいシーンに反応する。また、覚醒剤や鎮静剤、陶酔効果のある薬物など、薬や化学物質からも直接影響を受ける。
多くの人がそのような薬に手を出すのは、まさにコア・アフェクトを変える性質を持った薬だからだ。覚醒剤は覚醒性を高め、鎮静剤は覚醒性を下げる。アルコールやMDMAなどはポジティブな気分にさせる。
コア・アフェクトは体温と同じようにつねに存在しているが、それに意識的に気づくのは、誰かに調子を尋ねられたり、立ち止まって自分を省みたりするなどして、それに集中したときだけである。
コア・アフェクトは一瞬ごとに大きく変化することもあるし、長時間にわたってある程度一定に保たれることもある。
心理学では誘意性を意識的経験ととらえ、ある瞬間に感じる心地よさ・不快さとして表現する。
健康でその日の調子がよかったり、おいしいものを食べたりすると、楽しい気分になる。ひどい風邪をひいていたり腹が減っていたりしたら、惨めな気分になる。そのようなときに経験するのが誘意性だ。
覚醒性を意識的経験ととらえると、自分の感じるエネルギーの強さによってそれを特徴づけられる。
そのスペクトルの一方の端には、活発な状態が位置する。音楽を聴いて感動したり、デモに参加して気持ちが高ぶったりするといったことだ。
もう一方の端には、眠たい状態や気怠い状態が位置する。授業で先生の話を聴いていて退屈するといったことだ(私の授業でそうなるなんて想像もつかないが)。
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