かつて、感情は理性による論理的な思考を妨げるものであり、避けたり抑えたりすべきものとされていた。しかし、「感情神経科学」という注目を集める研究によって、感情や情動は人間の意思決定などに大きな役割を果たしていることが明らかになっている。感情や情動は直感的で正しい判断を下すために必要不可欠であり、それをコントロールすることは、社会的成功にとっても欠かせないものなのだ。今回、日本語版が6月に刊行されたレナード・ムロディナウ氏の著書『「感情」は最強の武器である』より、一部抜粋、編集の上、お届けする。
自分の情動状態を認識すべし
自分の感情なんて自分でよく分かっているはずだと思われるかもしれない。
しかし、自分が実際に何を感じているか、その理由が何であるかが分かっていなかったと気づかされることはしょっちゅうあると思う。
自分の無意識の情動状態、意識的な感情、そしてもっと一般的な生活環境の役割をはっきりと認識することが、情動を手なずける、あるいは少なくとも情動が不利に作用するのを防ぐための第一歩だ。
もっと幸せでもっと成功した人生を送るために目指すべき目標は、その自己認識に基づいて情動的知能を高めることである。
この箇所を書いている時点で、車椅子生活の母はケアハウスで暮らしている。100歳近いわりに身体は健康だが、何年も前から精神は衰えてきている。
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