結局「人の気持ちがわかる人」が成功する納得理由 社会的な成功の鍵は「情動的知能」の高さにある

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情動的知能は人間にとってきわめて重要なもので、2歳かそれよりも幼いうちに身につく。その歳の幼児でも、家族が困っているのを見ると、助けようとしたり泣き出したりするという反応を示す。

情動状態は情報処理に影響を与えるだけでなく、コミュニケーションにも影響をおよぼす。情動は会話の潤滑剤として働き、相手と関係を深めたり、他人の求めていることや必要とすることを理解したりするのに役立つ。

誰かと会ったときには必ず情動的な信号を送るものだし、その信号を読み取るには意識的プロセスと非意識的プロセスの両方を使う。

情動的知能に秀でた人は、自分の情動表現をモニタして、他者の反応に自分自身を合わせる術をわきまえている。相手が送ったり受け取ったりしている信号に気づいて、はるかに効果的に意思疎通ができる。

他人の心を読んで理解するのにとりわけ秀でた人を見ると、あの人はカリスマ的だと感じてしまう。優れたリーダーは周囲の一握りの人に考えを伝えるだけでなく、大勢の人に直接、またはテレビを通じて語りかけることができる。

「自分のことを知ってもらいたい」

人間は他人の心を読む能力を持っているだけでなく、他人に自分のことを知ってもらいたいと思うものだ。

研究によると、人の会話の30%から40%は自身の経験や人間関係に関する内容だという。SNSでは投稿の80%が、そのとき自分の経験した事柄に関するものである。

2012年にハーヴァード大学でおこなわれた研究では、被験者に自分のことまたは他人のことを話してもらいながら、fMRI装置で脳をスキャンした。

すると、自分のことを打ち明けているときには、他人のことを話しているときと比べて、報酬や快楽に関連した脳領域が有意に活性化することが分かった。

別の実験では、被験者に195の質問を出して、1問答えてくれるごとに数セント支払うと伝えた。

質問は、自分自身に関すること、誰か別の人に関すること、そして事実に関することの3種類を用意し、被験者には1問ごとにそのうちのどれかを選ばせた。

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