コード書き続けた世代に迫られる「AI時代」の変革 「プログラマーの本質に立ち返る時が来た」

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ーー進化のスピードが速すぎるがゆえに、先の変化が読みづらく余計に不安をあおるのではないか、と。

遠藤:そうですね。一方で、生成AIはいろいろな可能性を秘めた新しい道具であり、ワクワクするような楽しさももちろんあります。

このテクノロジーを使ってどういうことができるんだろうとか、そういうことを考えるのはエンジニアとしてすごく楽しいですね。

——伊藤さんはいかがですか?

書籍『プロを目指す人のためのRuby入門』(技術評論社)著者  株式会社ソニックガーデン プログラマー / 顧問CTO  伊藤淳一さん(@jnchito)
1977年生まれ。SIer、外資系半導体メーカーの社内SEを経て、2012年ソニックガーデンに入社。保守性、拡張性の高いシンプルなコードを追求するプログラマであり、プログラミングスクール「フィヨルドブートキャンプ」でメンターも務める。Qiitaではユーザーランキング1位(23年3月現在)。夢はプログラマを憧れの職業にすること。現在は兵庫県西脇市の自宅からリモートで働いている(撮影:桑原美樹)

伊藤:未来のことは正確には分かりませんが、現時点では生成されたプログラムをチェックするのも評価するのも人間。

AIにはソースコードの管理はおろか、お客さまの要望を漠然とした要望をヒアリングして開発要件に結び付けることもできません。

「いずれはできるようになる」という意見もあるでしょうが、だからといって今後5年以内にプログラマーの仕事がなくなるかというと、そうは思えない。注視はしていますが、まだ様子見の段階です。

「面白さ」と「怖さ」の比率は、まだ面白さの方が上

遠藤:「面白さ」と「怖さ」の比率で表すと、僕にとってはまだ面白さの方が上ですね。

伊藤が言うようにプログラマーとしての見識や経験がすぐに通用しなくなるわけではないですし、優れたAIの助けを借りて何ができるか考えるのは楽しいですから。

むしろこのユニークな素材を使ってどう料理しようか考えるだけで楽しいですし、プログラマーとしてその力量が試されているような気がします。

伊藤:僕が生成AIに関してちょっと引いた目で見ているのは、これまで何度も鳴り物入りで登場し、その後、鳴かず飛ばずで消えていったテクノロジーをいくつも見ているから。

評価が定まらないうちは静観したほうが時間をムダにしなくて済みます。だから情報集め以上のことはしていないんです。「人柱」は、アーリーアダプターの遠藤に任せます(笑)。

遠藤:喜んでやりますよ(笑)。僕はどちらかというと新しいテクノロジーに対して前のめりになりがちですけど、伊藤のように時間を有効活用するために、静観するっていうのも一つの手だと思いますね。

数日前の情報がもう古いということが頻繁に起こる世界ですから。利用者や適応先の裾野は広がり続ける一方、いまだ評価が定まってないテクノロジーなのは確かです。情報に翻弄されるくらいなら、要所を押さえた情報収集に徹するのもアリだと思います。

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