コード書き続けた世代に迫られる「AI時代」の変革 「プログラマーの本質に立ち返る時が来た」

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遠藤:僕らは仕事を楽しんでいるけれど、決して楽な仕事をしているわけではありません。それができるのは定型化しがたいプロセスに面白さや自らの介在価値を感じられるからです。

特別な技能を必要としない作業を粛々とこなすだけならAIの方が速いし確実。そうした領域に身を置き続けることに不安を覚えるなら、スキルが磨ける会社に転職するなり、個人プロジェクトを始めるなりして手数を増やせるといいと思います。

そうしないと世間から後れを取るばかりで、取るべき選択肢も減る一方です。

伊藤:もし仮に今会社がつぶれたり、クビになったりしても「食べていける」と、言い切れる状態を保ち続けることは、非常に重要です。

この先、生成AIのブームが続こうと続くまいと、その点は変わらないでしょう。年齢や役職を重ねても現状に安住せず、常に頭の片隅にそうした危機感を持ち続けていたらチャンスはいつかやってきますから。

遠藤:生成AIの進化をめぐって今起こっていることを正確に評価するまでには、まだ時間がかかるでしょうが、さらなるブレークスルーによって、変化のスピードがよりいっそう速まる可能性は非常に高そうです。

こうしたタイミングに居合わせることが幸運だと思えるなら、プログラマーの未来はきっと明るいものになるでしょう。

(撮影:桑原美樹)

他の人に先んじて知識やできることを増やせれば、全くのゼロからトップに躍り出ることだってできるかもしれません。悲観的にならず、かといって楽観的になり過ぎず、チャンスを捉えてどんどんチャレンジできるといいですよね。

伊藤:個人的に悔しいのは、こうした技術が日本からではなくほとんどが外国からやってくること。これは僕らの世代のエンジニアの責任でもあると思っています。

実際にChatGPT並のインパクトがあるテクノロジーを生み出せるかどうかは別として、日本からも世界に影響を与えるような優れたテクノロジーが生まれるよう、僕ら自身も頑張らないといけないし、若い世代を応援しなきゃな、と思うんですよね。

遠藤:変化や失敗を恐れずチャレンジし続けるためにも、僕自身も常に最新の知見に触れる努力を重ねていきたいと思っています。そこからきっと新しい可能性が生まれてくると信じているからです。

システム開発に携わるプログラマーが元気になれば、日本のビジネスや社会も元気になる。そんな人が一人でも増やせたらそれ以上の喜びはないなと思っています。

取材・文/武田敏則 撮影/桑原美樹 編集/玉城智子(編集部) 

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『エンジニアtype』編集部

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