話を戻すと、しかし「第2期」に入って、いや「第1期」の後半から、M-1全体が、私の思う「漫才」から徐々に離れていった。4分という短尺(後述)の中に、アイデアとスタミナと手数を過剰に組み入れられた人工的な「漫才」――。
それでも、この連載で、M-1優勝前の錦鯉を取り上げたのは、先見の明という感じで、少々誇らしかったりするのだが、それはともかく、「漫才ブーム直撃世代」として白状すれば、もうちょっと「普通の漫才」(≒「しゃべくり漫才」)の方が好みなのである。
そう、「普通の漫才」への原点回帰。『THE SECOND』に期待するのは、すばり、これだ。
M-1より2分長いネタ時間
注目するポイントの1つ目は、まずネタ時間が「6分以内」という設定になっていること。先述のようにM-1では4分で、今やそれが漫才界でデフォルトになっているふしがあるが、今回は、それより2分長い。
知り合いで、M-1や『THE SECOND』を予選からチェックしている見巧者がいるのだが、彼は「6分は勢いだけでは突破できない」「つまりプロレスやボクシングというより総合格闘技になる」と話していた。
4分がいかに短いかについては、長尺の漫才が普通にかけられている演芸場に足を運んでみればよくわかるだろう。また、漫才ブームも早口でせわしない漫才が多かった記憶があるが、手元にあった『THE MANZAI PART2』(1980年)のレコードで確かめたら、ツービートの尺は7分もあった。
つまり4分から6分、このたかが/されど「+2分」が、「普通の漫才」への回帰に向けた道筋になると期待するのである。
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