「THE SECOND」にお笑いファンが熱狂する理由 「普通の漫才」にどこまで回帰できるかの戦いに

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ポイントは長尺ネタに強いところだ。何分でも見たくなる漫才。つまりは私の思う「普通の漫才」の良さを十分に備えている。「QJWeb(クイック・ジャパン ウェブ) 」のインタビュー(2021/6/16)で文田大介はこう語る。

――10分出番があったら、今まではつかみで自己紹介して、ネタを2本やる構成だったんですけど、最近は10分まるまる使って1本のネタしかやってないです。(中略)賞レースにかける漫才だと、4分にキュッと詰めて、よけいなことを入れる隙間がない。僕らはもう賞レースを卒業しているから、ネタを延ばす余裕があるということは言えるかもしれないですね。

ちなみにこのインタビューで文田大介は、1年で200本以上(!)ネタを作ったことがあると豪語している。その中から優秀な長尺ネタを披露するのだ。優勝の可能性はかなり高いのではないか。

あと、会場の空気が一周して回ってくるであろう8番目という順番も、彼らの芸風にとっては追い風となるような気がするのだ。

「金属バット」と「囲碁将棋」の戦い

最後に、5月9日に行われた組み合わせ抽選会と記者会見の記事より(TV LIFE web/2023年05月09日)。まずは金属バットがぶんぶん振り回される。

――トップバッターへの気持ちについては友保隼平が「最悪です(笑)。もう一回やり直しましょうよ」と不安をあらわに。また、参加した理由として小林は「あんたらが開いたからや!」と会場の笑いを誘った。すると友保は「僕は違います。世の中で少しでも多く子供の笑顔が見たいからです」とドヤ顔。これに銀シャリの橋本直が「やかましいわ!」とツッコんだ。

対して囲碁将棋が一手一手着実に詰め寄る。

――囲碁将棋の根建は「『M-1』を卒業した後、どの大会にも出る資格がないときに、『囲碁将棋が優勝を本気で意識したライブ』というのを立ち上げたんですよ。いつか出られる大会ができるんじゃないかなと思いながら2、3年やり続けて、そして今回こういう大会が出てきたので、誰よりも優勝を意識している自信はあります」と意気込み。

金属バットを振り回す野球と、一手一手詰め寄る囲碁将棋との戦い――確かにこれは、総合格闘技だ!

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スージー鈴木 評論家

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すーじー すずき / Suzie Suzuki

音楽評論家・野球評論家。歌謡曲からテレビドラマ、映画や野球など数多くのコンテンツをカバーする。著書に『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)、『1979年の歌謡曲』『【F】を3本の弦で弾くギター超カンタン奏法』(ともに彩流社)。連載は『週刊ベースボール』「水道橋博士のメルマ旬報」「Re:minder」、東京スポーツなど。

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