冷淡に見えて熱い「森鴎外」文壇の権威へ衝撃発言 超エリートで「教養あふれる近代人」を自負

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森鴎外
軍医でドイツ語も堪能だった森鴎外(写真:Heritage Image/アフロ)
学校の授業では教えてもらえない名著の面白さに迫る連載『明日の仕事に役立つ 教養としての「名著」』(毎週木曜日配信)の第32回は、明治の文豪・森鴎外に迫ります。
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坪内逍遥にけんかを吹っかけた森鴎外

現代においてもSNSでさまざまな論争が日々交わされ、時には有名人同士が相手の言い分を否定しあうこともある。「これだからSNSがある時代は……」とため息をつきたくなるときもあるが、実はこの傾向はSNSが登場した現代に限ったものではない。今回は明治の文豪こと森鴎外が参加した、有名な論争を見ていこう。

森鴎外は教養あふれる近代人であることを自負しており、それゆえなのか、他人に議論を吹っかけることを恐れない性格だった。有名なのが、坪内逍遥との論争。

坪内逍遥は、日本でシェイクスピア戯曲を翻訳したことで知られる文学者。早稲田大学の前身である東京専門学校の講師となり、後に早稲田大学の教授となったことで知っている人も多いかもしれない。

そんな坪内逍遥が明治時代に創刊したのが、雑誌『早稲田文学』。そこで逍遥はシェイクスピア劇について、理想的な人間のあり方ではなく、客観的に人間を表現している点を評価し、またそれらを批評するときも客観的に評することを重視する姿勢を示した。これを「没理想論」、つまりは「自分の理想を押し付けるのではなく、客観的に批評をおこなおうとする」主張なのだと人々は呼んだ。

だが森鴎外はそんな坪内逍遥の宣言に対して、けんかを吹っかけた。

次ページ森鴎外はどんなけんかを吹っかけたのか?
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