心の健康には、まずは、自分へのインタビューを始めるといいでしょう。通勤途中などに、誰かにインタビューされていると思って、頭の中でセルフトークをして下さい。
「◯◯さん(自分を呼ぶ)、今日の気分はどうですか?」
「うーん、今日はちょっと元気ないんですよね」
「なぜですか?」
「昨日上司に言われたことに困っていまして」
「なぜ困っているのですか?」
「会社でどんな顔をすればいいのかと」
という具合に、自分への「なぜなぜインタビュー」をやるのです。
体重計に乗ったり、体脂肪をチェックしたりして、ちょっと脂肪をとりすぎたかなと注意するのと同じで、心の状態を自分でモニターするわけです。
すると、これが「自分との会話=セルフトーク」に気づく第一歩になります。このように、自分の心のなかに「もう一人の自分」を作り、話し合っていくことも、自分ならではの建設的な行動を作るための方法の一つです。
「どうすれば今日の自分は、イライラしないでもう少し良い仕事をできるかな?」
「今日はニコニコしていればいいんじゃないの」
「いや、ニコニコ? そういう問題じゃない気もする」
「そうだよねえ。じゃあ今日は、ゆっくり喋るように心がけながらやってみよう」
こうしたセルフトークは、人によって作り方が違います。本書にもあるように、まずは研究や理論で明らかになっていることを学び、「自分に最適なことは何か」を考えていくことが大事です。
何かに挑戦している人とチャッター
スポーツ心理学では、「セルフトーク」についての研究や実践トレーニングが多くあります。
スキルとして学ばなくても、子供のときから当たり前のように自分との会話をしていたという人もいるでしょう。
何かに挑戦している人であれば、チャッターは、頭の中に出ざるをえないものでしょう。「どうすればもっとうまくいくかな」と考えることはセルフトークでもありますから。
(後編に続く)
(構成:泉美 木蘭)
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