「出勤前にお腹が下る」腸の中で起きていること ストレスの判定は腸内細菌が実は行っている

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(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)
人間の行動は脳がコントロールしていると思われがちですが、腸(腸内細菌)が決めている部分があるわかってきました。腸に関する国内外の最新研究を基にパフォーマンスを高める方法を紹介した書籍『すごい腸とざんねんな脳』より一部抜粋・再構成してお届けします。

私たちはストレスを感じるとお腹が痛くなり、下痢や便秘などになったりします。皆さん、特に男性の会社員の方々は、次のような経験があるかもしれませんね。

例えば朝、大きなプレゼンがあるときには、下痢の症状で悩まされることがあるかもしれません。ではなぜ、出勤前になるとお腹が下ってしまうのか? その人はもともとお腹がゆるいのでしょうか? 実は脳の中で考えていることは、私たちが思っている以上に腸に反映されやすいのです。こうした脳と腸のつながりを脳腸相関とか、腸脳相関と呼んでいます。

もともと生まれつき胃腸が弱い人は確かにいらっしゃいます。また、男性が女性に比べて胃腸が弱い人が多いのも統計的な裏付けがあります。しかし、それ以上に脳と腸の関係は深いのです。

皆さんも経験があるでしょう。空腹のはずなのに極度の緊張から食欲が出ないとか、不安が続くと頻繁にトイレに行きたくなるなどです。

検査に異常がなくてもストレスに腸が反応する

最近、有名人の方も罹患して、報道されることも多くなってきている「過敏性腸症候群」はストレスが腸の症状に密接に関与している症状として知られています。この症状はストレスや不安感が原因なのですが内視鏡検査などで調べてみても具体的な腸の変化は見られないのに、腹痛、便秘や下痢といった症状が現れるのが特徴です。

とても不思議な現象です。しかしなぜ、このようなことが起きるのでしょうか? もちろん、これは脳腸相関が原因です。

脳と腸の関係は、古くから研究対象になっていました。「脳」がストレスや不安を感じると、その情報が臓器に伝わります。とくに消化器官である「腸」の機能に影響が出ます。

次ページ研究者が立てた仮説は…
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