丸紅が目指す「住設・建材のアマゾン」の破壊力 再燃する「問屋無用論」に専門商社の活路は?

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丸紅アークログでは約200万点の商品が閲覧できる(画像:丸紅アークログ)
2025年度、市場規模4兆7500億円(富士経済)とされる住宅設備・建材業界で、地殻変動が起こりつつある。遅れに遅れていたデジタル化がようやく浸透し、建材のEC(ネット通販)化を視野に総合商社が市場に参入し始めた。一方、老舗の専門商社は「問屋無用論」にどのように立ち向かうのか。業界の最前線を追った。

建材選びの作業を一気に効率化

「いまは『食べログ』。将来は『アマゾン』を目指す」

住宅設備・建材の総合検索サイトを開発・運営する丸紅アークログ(東京都港区)。丸紅の都市開発部門出身で、同社社長を務める井谷嘉宏氏はそう宣言する。

丸紅アークログは、BIM(3次元モデルによる設計・工程管理システム)関連のコンサルやソフトウェア開発を手がけるログログの技術に丸紅が目を付け、2019年に設立されたベンチャー企業だ。丸紅が大半を出資し、長谷工コーポレーション、前田建設工業も少額出資している。

主力の建材カタログ検索サイト「アークログ」は、床材から管工機材、浴槽、衛生陶器に至るまで、メーカー600社のありとあらゆる商品約200万点が同じフォーマットで閲覧できる。

ゼネコンや工務店などの設計担当者が紙のカタログを何冊も机に広げ、何時間もかけてやっていた建材選びなどの作業を一気に効率化する。収益は、メーカーからの商品掲載料で賄い、ユーザーは無料でアークログを使用できる「食べログのようなサービス」(井谷社長)だ。

丸紅アークログの井谷社長(右)と香月取締役(左、写真:記者撮影)

「メーカーのカタログを横断的に検索できる閲覧ソフトは世の中にたくさんあるが、商品の表記がばらばら。われわれはデータを人海戦術で入力し直し標準化したことで、製品ごとの横断検索を実現できた」と、ログログ社長で丸紅アークログ取締役も務める香月創星氏は話す。

アークログの最大の特長はBIMとの連動にある。BIMとは、設計図面や施工などのデータを3次元モデルで扱えるシステムで、海外に比べ普及が遅れている日本でも本格的に浸透し始めている。国は建築確認申請で2025年度から一部BIMによる申請を認め、2027年度には全国に拡大する。

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