丸紅が目指す「住設・建材のアマゾン」の破壊力 再燃する「問屋無用論」に専門商社の活路は?
住設・建材業界の商流には独特の結束があり、簡単に割って入れないという事情もある。
オフィス用品のアスクルがネットで受注を始めたのは1997年。2年後には現・LIXIL社長の瀬戸欣哉氏が住友商事時代に事業者向け工具通販サイトの「MonotaRO」を開設した。アマゾンが書籍通販で日本に上陸したのも2000年のことだ。
業界内では1960年代に唱えられた「問屋無用論」が再燃したが、2000年代以降もほぼ一貫して売り上げを伸ばしてきた専門商社もある。管材・住宅建材大手の橋本総業ホールディングスだ。
1890年に東京・神田岩本町で鉄管継手バルブ販売などを始め、戦後はメーカーの特約店として事業を拡大、2014年には東証一部上場(現在はプライム市場上場)を果たした。いまでは管工機材、住宅設備機器を中心に売り上げ1400億円規模に成長している。
専門商社の機能を最大限に発揮
橋本総業4代目、橋本政昭会長は「アマゾンは設立からしばらく赤字が続いた。ネットで受発注ができても、物流がついてこなかったからだ」と話す。
専門商社は商品の発注を受けるだけでなく、物流や施工の機能も担う。納品から代金回収まで100日を超える取引も珍しくない業界であるため、与信機能も重要だ。
橋本総業は配送センターを併設する48拠点でメーカーと販売店などをつなぐ。2022年はコロナ禍でメーカーからの供給遅延が起きたが、
橋本総業が形成する商流の基盤になっているのが、メーカーや販売店、工事店などの取引先500社を会員にした「みらい会」だ。500社の互助組織として運営され、展示会や研修会などを頻繁に開いて交流を深めている。
「例えば、みらい会の研修でユニットバスの組み立てが得意な工事店が空調の取り付けもできるようになれば工事店の売り上げが伸び、橋本総業への発注も増える。販売店や工事店が儲かる仕組みをつくっていくこともわれわれの仕事だ」(橋本総業の伊藤光太郎専務)
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