丸紅が目指す「住設・建材のアマゾン」の破壊力 再燃する「問屋無用論」に専門商社の活路は?
建設業界では、責任の明確化や発注の単純化のために設計と施工は分離して別々の企業が担うことが多いが、BIMの導入で実務的に設計と施工、さらには維持管理まで含めて一体化できる。アークログは建設業界のBIM化の流れに乗り、ゼネコンとの取引を増やし、現在の提携先は約60社に上る。
アークログでは、設計図面を基にした3次元データに建材のデータを簡単に重ねることで、まるで写真のような画像が合成される。廃盤やサンプル請求など、販売店やメーカーに問い合わせて一つひとつ確認しなければならなかった作業も画面上で完結する。設置した時期や耐用年数のデータを活用し、建材・資材の改修時期をアラームでユーザーに知らせる機能も開発中だ。
そして、その先に狙うのが「建材のアマゾン」。つまり、見積もりや発注をPC上で、ワンクリックで完結させる仕組みだ。既存の商流を生かすにせよ、新たに物流網を立ち上げるにせよ、システムが普及していくにつれ、商流の主導権を握る可能性がある。
ただ、「そこ(商流)に触れることは創業以来タブーとしてきた」(香月氏)という。
専門商社や販売店は不要に?
住設機器、建材は取り付けに専門技術が必要で、メーカーから最終消費者の手に届くまでには複雑な流通経路をたどる。まず専門商社がメーカーから商品を仕入れ、販売店に卸し、それが工事店を経て建物に取り付けられる。こうした販売店や工事店は、家族で会社を営む地方の中小企業がほとんどだ。
丸紅の資本力を背景に、巨大物流網を持って「住設・建材のアマゾン」になれば、専門商社や販売店は不要になりかねない。香月氏は、「誰と組んで、どのタイミングでデジタルディスラプション(破壊変革)を起こしていくか、リスクも理解した上で検討を続けている」と話す。
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