「中学生くらいからファッションに興味があって、学びたいことを考えた時に、はまるところが大学にはなくて、それで専門学校にしたんです」(祐里子さん)
夢を叶え、今は一流ブランドに携わる仕事をしている。「ファッションの世界にいると、大学を出ている必要性はあまり感じないんです。あの子ども時代の勉強漬けの日々って、いったいなんだったのかなって。社会で生きていくのに必要なのは、結局、自分がやりたいと思えることが見つかるかどうか、ではないかと」
こういう背景があるからだろう。子どもが中学受験をするとしても、偏差値の高低という軸はさほど重要とは思わなかった。自身の子ども時代を回想するように、ゆっくりとこう話した。
「自分と同じ道を歩ませたくなかったのかな。ちゃんと遊んでほしかったんです」
少人数指導なのに集団よりも進捗が遅い…
同じ道を歩ませたくないと思いつつも、やはり、中学受験の年齢になって、いきなり勉強は始められない。加えて、夫婦共にフルタイム勤務の共働きで、学校の勉強をこまめに見てあげるゆとりもないため、低学年のうちは公文式に通わせた。凪さんにとって公文へ通うのは、勉強というよりも、スイミングやダンスなどと同様に、習い事の一つという感覚だった。
凪さん本人が中学受験を意識しはじめたのは小学4年生の頃。学校の友達が塾に通い始めたため、自然と考えるようになったのだ。
「トモちゃんもジュンちゃんも受験するんだって~。私もしようかなぁ」
そんな軽い調子だった凪さんに、祐里子さんは2つのことを伝えた。1つは、実際に中学受験をするかしないかを今の段階で決めなくてもよいということ。2つ目は、受験をするかもしれないという思いがあるなら、中学受験のための塾には通っておいたほうがいいということだった。
「じぁあ一応私も受験の塾に通おうかな」
凪さんのこの一言で塾探しが始まった。
続けている習い事のダンスは辞めたくないという凪さん。遊ぶ時間も大事にしてほしいという母・祐里子さん。2つの思いを考慮した場合、2科目に絞って勉強するのが現実的だという考えに至った。
しかし、大手の場合は4科目入試に向けて授業がパッケージ化されている。そのため、志望校にはいらない勉強まで均一にさせられる可能性が高かった。この時点で大手塾に通うという選択が消えた。
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