中学受験、週2だけ通塾の「省エネ」選んだ人の結末 勉強は1日2時間、受験校も1校のみという選択

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コロナ禍ということもあり、学校に足を運ぶ機会は限られていた。オンラインの見学会にも参加しながら6校ほどの学校に足を運んでみたが、6年生になってもしっくりくる学校が見つからない。そんな中、知人から紹介されたのが今通う学校だった。四谷大塚の偏差値表では40程度に位置していた。

しかし、その学校は武田家が希望する要素を全て満たしていた。少人数の学校で、クラス担任はネイティブの外国人、副担任に日本人が付く形式をとっていた。

留学提携先は英語圏に限らずフランスや中国、韓国など豊富だ。現地での学びも単位として認められるため、留年なしに長期留学が可能だった。また、海外大学との連携も盛んで、一定の基準をクリアするとボストンのマサチューセッツ大学や、ロンドン大学などに進学できる制度もある。日本の大学進学とあわせて世界への扉が開かれているのだ。そして、凪さんが希望するダンス部があり、パンツスタイルの制服もあった。

「偏差値表では本当に下のほうだから、人目につかないんだと思います」(祐里子さん)

「私、この学校に入りたい!絶対にここがいい」

倍率も低かったが、武田家としてはむしろそこは安心材料になった。負けん気が強いわけでもない凪さんは、危険を冒した受験はしたくないと思っていた。ここならば、今のペースの勉強で十分に入れる。そうも感じたのだろう。

「私、この学校に入りたい!絶対にここがいい。落ちたら公立中でいいから」

見学後、すぐに凪さんは母親にそう伝えた。

塾に志望校が決まったことを伝え、対策を始めた。凪さん本人はというと、志望校が決まったことで勉強に取り組む姿勢に変化が表れた。

「こないだのテストであそこ間違えちゃったんだよね~。ちょっと見直してこよ~」

と、自らの勉強スタイルを作り出し始めたようだった。

調べてみると、同校には特待制度があった。凪さんの模試の偏差値レベルからすれば、確実に受かる範囲。しかも、過去問との相性も悪くなく、倍率も低いため、どうせ目指すならば特待にしようと、特待入試に挑戦した。

ただ、そこまで現実は甘くなかった。

「余裕だろうくらいに思っていましたが、ダメでした。模試の偏差値なんて当てにならないなぁって、つくづく思いました」(祐里子さん)

ただ、一般入試には無事合格。凪さんは毎日元気に学校に通っている。

お金と時間をかけ、過酷な受験競争にどっぷりとつかった経験がある母・祐里子さんが主導して目指したゴール。それは、親にも子にも強い負担を強いず、求める教育が受けられる学校に入ることだった。

子どもの好きなことを中断せずに続け、友達と遊ぶ時間も大切にした武田家の受験。これから受験を目指す家庭に、ひとつの受験の道しるべとなるのではないだろうか。

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宮本 さおり フリーランス記者

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みやもと さおり / Saori Miyamoto

地方紙記者を経てフリーランス記者に。2児の母として「教育」や「女性の働き方」をテーマに取材・執筆活動を行っている。2019年、親子のための中等教育研究所を設立。

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