そうは決めたものの、大手塾以外の塾の情報を手に入れるのはかなり難しかった。Googleマップを開き、凪さんが自分で通塾できる範囲で塾を探すと、中学受験の指導もしてくれる個人経営の塾が見つかった。ホームページには、1グループ4人までの少人数指導を売りにしているとあり、丁寧に見てもらえる気がした。4年生の夏を前に入塾を決めた。
ところが、だ。通塾してしばらくたった5年生のある日、凪さんがテキストの進みが遅いのではないかと言い始めた。それまで勉強は塾に任せきりだったという祐里子さん。言われてテキストを見てみると、確かに少人数指導の割に進捗が遅い気がした。ほんとうは5ページ進めなくてはいけないところを1ページしか進まなかったという日もあった。担当の先生の遅刻はもちろん、ひどい時には時間が過ぎても誰も来ないことがあり、塾長が代わりに入ることもあったと言い出した。
「普通に通っていると思っていましたからビックリでした。子どもも塾に通うのは初めてですから、こんなもんなのかなぁと、疑問に感じなかったようです。本人が申告してこないかぎり、親は気づきようがありません」(祐里子さん)
すぐに塾に連絡し、面談をお願いした。テキストの遅れや講師の遅刻などを指摘しても、のらりくらりとかわすばかりで的を射た答えは得られなかった。この塾では受験どころではなくなると感じた祐里子さんは別の塾を探し始めた。
勉強がかなり遅れているかもしれないという不安。となると、いくら2科目入試に対応した塾といえども集団塾では学力的に難しいのではないかと考えたが、当たり外れの激しい個人経営の塾では、塾の見極めも大事だと学んだ。
仕事も忙しく、いくつもの塾を見学しているゆとりもない。結局、情報がある程度ある大手の中から選ぶことにした。習い事も続けられて、家から一人で通える個別指導塾という条件で探すと栄光ゼミナールのビザビにたどり着いた。
週2日の通塾で入れる学校を目指す受験
すでに5年生の夏休みに入ろうかという時期だった。入塾を検討していると伝えると、通っていた塾のテキストと模試の結果を持ってきてくれとのことだった。
「ちょっとこれは遅れていますね~。集団指導の塾よりも遅れていますよ」(塾担当者)
予想はしていたものの、あらためてそう聞くと、前の塾に支払っていた月謝はなんだったのかと怒りが湧いた。前の塾では、週に3日の1コマ90分。算数と国語がそれぞれ1コマずつと2つをミックスしたようなクラスが1コマの計3コマを受講、月謝は3万8000円ほどだった。
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